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日本企業の直面するトラブル2:間接費コストの見誤り(公認会計士 野瀬大樹)

      2017/09/14

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一回目の記事において「インドの税納付状況」および「間接税」について少し触れたのですが、今回はその間接税について解説したいと思います。

一回目の記事はコチラ→https://blog.conocer.jp/nose-risk01/

「間接税」というと、日本での代表的なものは「消費税」になります。インドでもこの消費税に該当するものはあるのですが、その種類が多岐に及びます。さらに、州ごとにその消費税が設定されているのでその相殺関係が非常に複雑になるのです。その税の複雑性から日系企業が直面しがちな問題点について、今回は見ていきましょう。

そもそも進出時に税率を考慮していない

日本の消費税が8%なので同じくらいの感覚で考えていると痛い目に遭います。インドの消費税にあたる「サービス税」「VAT(日本の消費税のようなもの)」「物品税」の税率は概ね12~15%であり、日本の消費税よりも高いのです。

先日、この複雑な間接税をGST(物品サービス税)という税に統一する話も出ていますが、現在想定されている税率は18%と非常に高いものになる予定です。このあたり、進出前にしっかりシミュレーションしておきたいところです。

税の相殺関係を考慮していない

ただ、その税率がそのまま会社の取引額に課されるわけではありません。

単純に言いますと、日本の消費税と同様「受取消費税-支払消費税」が納付額となるのです。ただし、インドではベンダー(仕入先)からのインボイスが遅延することが非常に多く、日本で言う月々の「支払消費税」にあたる金額がなかなか確定しないのです。しかし、間接税の納付期限は待ってくれないので、とりあえず受取消費税額をそのまま納付してしまう…という緊急処置をとる日本企業が多いのも事実です。申告時に納付しすぎた分は、後に判明した支払額と相殺できるので1年間トータルで考えると納税額に差はないのですが、この「とりあえず多めに納付しておく」という方法により企業の資金繰りは著しく悪化します。

勿論、インボイスが届くまで待って遅延利息を払えば良いという意見もあるのですが、日本企業の場合はコンプライアンスに厳しいので、たとえ1ルピーであっても「遅延利息」と名前の付くものは回避したがる傾向にあります。

このあたりの資金繰り面も進出前にはしっかり議論しておきたいところですし、柔軟な対応を目指したいところです。

複雑かつ頻繁な改正

これは間接税に限らないのですが、インドでは法改正がある日突然施行されることが非常に多くあります。たとえば昨年のある日まで14%だったある間接税の税率に関して、ある日突然通達が出て「再来週から14.5%にします」と宣告されることがありました。

ベンダーからのインボイスのチェックが必要になるのはもちろん、こちらから発行するインボイスに間違いがあれば信用問題に関わりますので、タイムリーな改正情報を入手する仕組みが必要になるかと思います。

また、基本税率以外にも特例としての税率が非常にたくさん定められており、多品種を取り扱う業種の場合、これらを正確に把握しておく必要があります。

 まとめ

インドの間接税は複雑かつ負担が重い。

事前にしっかりとシミュレーションしておかないと、損益面、キャッシュ・フロー面、そして法改正のコンプライアンス面でトラブルに直面するので注意が必要です。

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<プロフィール>

野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

 

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