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中国株式市場の先高期待観の背景と相場リスク

      2016/02/24

こちらは「チャイナリスク」に関する全6回のシリーズ記事です。リスクを構成する要因と、その背景を解説します。
第4回では、チャイナリスクのひとつ、中国のカントリーリスクを紐解きます。

 

世界の株式市場は各国の中央銀行による金融緩和策に支えられ高騰しています。その中でも中国では新たな投資計画を期待する個人投資家に支えられ株式ブームが続いています。
今回はこのような中国の株式市場の先高期待観の背景と裏腹にある市場リスク、つまり価格下落の可能性について考えてみましょう。

上海株価上昇と膨らむ下落リスク

中国の経済規模は過去20年で15倍程度に膨らみ、国民総所得(GDP)は世界で第2位になりました。ただ一人当たりGDPで見れば約7,589ドルで世界第80位とドミニカ共和国とほぼ同水準にとどまっています。

とはいえ都市部を中心に中間層が出来上がりつつあり、それに伴い株式市場において個人投資家も増えています。これを背景にして上海株(上海総合指数)は昨年5月の2,000水準から(2015年4月21日時点)4,200を超えさらに先高期待観が漂っています。

しかし、リーマンショック時に上海総合指数は半分程度へと下落したことがあるように、50%程度の(下方への)価格変動つまり市場リスクは常に織り込んでおく必要があるでしょう。

上海・香港株式市場の乗り入れによる活性化効果

上海株が上昇基調を辿る背景には世界的金融緩和によるカネ余りがあります。さらに景気が減速しているとはいえ7%台と世界で突出した経済成長が評価された結果だとも言えるでしょう。

また金融システム改革の一環として株式市場の活性化が図られている効果もあるでしょう。具体的には外人投資家が香港証券取引所を通じて上海市場へ、また国内投資家が上海証券取引所を通じ香港市場へ投資することが可能となり、株式市場が一層活性化しました。またこの様な措置は、中国企業が投資家にとり魅力のある企業作りに取り組む刺激を与えることも期待されています。

ただ個人投資家による投資熱の高まりは不動産市場の好調による資産効果を反映したものであることは明らかで、今後の株価動向は不動産次第との見方もされ、地価下落の場面では株価急落の可能性が高まる点は要注意と言えるでしょう。

シルクロード経済圏構想への期待

習指導部は近頃「一帯一路」、つまり海と陸のシルクロードを通じて中東さらには欧州との結びつきを強めようとのシルクロード経済圏構想を打ち出しています。中国ではリーマンショック後積極的にインフラ投資が行われてきましたが、すでに国内では開発計画が一巡したことから供給過剰感のある鉄鋼やセメントを海外で使いたいとの希望が高まっています。

まさに「一帯一路」はこのニーズに合致するのですが、このような海外での開発プロジェを金融面で後押ししようとしているのがアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立です。AIIBは2015年末までに中国主導により設立される見込みで、現在参加メンバーの調整など準備が進んでいます。

その運営の透明性や環境保全に対する対応について日米から疑問も提起されていますが、将来的にはアジアにおけるインフラ需要を開拓する手段になるとして国内のみならず海外からの期待も高まっています。
日本の株式市場はこれまで米国株式市場の動向に左右されてきました。しかし近頃は東京と一時間しか時差のない中国の株価動向に左右される機会が増えています。従って日本株の動向を追いかける場合、米国のみならず中国の株式市場をフォローする必要性は以前にも増して高まっていると言えるでしょう。

 

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