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日本企業の直面するトラブル⑩新興国で「賄賂」とどう付き合うか(公認会計士 野瀬大樹)

      2017/09/14

今回は途上国ビジネスに関わったことある方であれば一度は直面した「賄賂」の問題です。正直これは書くかどうかは悩んだジャンルなのですが、実際に私がインドで受けた相談の中からいくつか事例をお話ししたいと思います。

実際、「賄賂」って要求されるの?

途上国でビジネスをやったことがある人でしたら、大なり小なり「賄賂」の話を聞いたことはあると思います。ただ、もちろん違法な行為なので、向こうも「賄賂をよこせ」と言うわけではありません。今流行の「忖度」が必要なのです。

  • どこにも不備がないのに提出書類に難癖をつけ続け受理しない
  • 郵送できる書類を「窓口まで取りに来い」と言って当日なかなか渡さない
  • 急に「最近テレビが壊れてねえ。大変で困ってる」などの話をする
  • 無言で机の上の電卓に数値(=金額)を打って、無言で見せる

などなどです。

日本企業の方は真面目な方が多いので、これらを賄賂の要求とはとらえず何度も何度も書類をやり直したり、無理な要求に何とか答えようしたりしますが、これらはどれも「賄賂」の要求の兆候です。

実際、「賄賂」は払うべきなのか?

結論から言いますと、賄賂は払うべきではありません。理由は2つあります。

  1. 違法だから
    賄賂は受け取るのはもちろん、渡すのも現地の法律で違法です。コンプライアンスの観点からこれは払うべきではありません。また日本の親会社が日本で「不正競争防止法」に抵触し、最大3億円の罰金を科せられる可能性がある点も注意が必要です。その場の仕事をスムーズに進めようとしてつい払ってしまう気持ちはわかるのですが、企業グループ全体に迷惑が掛かる可能性がある点は留意しておいてください。
  2. 足元を見られる
    一度賄賂を払ってしまうと「こいつは賄賂の要求にこたえる」と向こうに思われてしまうので、毎回賄賂を払うことになります。またその要求金額もどんどん吊り上がります。そのため、最初のほんの少しの金額で始まった賄賂の支払いが、数年後にはもう現地法人の経営を揺るがすくらいの金額になることも珍しくありません。
    賄賂は麻薬と同じです。最初の入り口の段階でピシッと断ることが大切です。

賄賂無しで、どう業務を切り抜けるか?

「それでは業務が進まない。賄賂なしで一体どうするんだ」
というご意見があるのも事実です。ただ、私も日本人コンサルタントとしての立場からは「違法なものは払わないでください」としか言いようがありません。またそのような国であっても司法はしっかり機能していることが多いですので、最後は訴訟に持ち込むのもアリだとは思います(もちろん時間とコストがかかります)。
またこのあたりの対策を専門にしているローカルのコンサルタントもいますので、そのような専門家を間に挟むのもありだと思います。以前、私のお客様も法外な賄賂を要求されて困っていたのですが、現地のコンサルタントに間に入ってもらい結局先方の人事異動の時期までのらりくらりかわして賄賂の支払いをせずに書類が通ったこともありました。このあたりは日ごろから信頼できる専門家とのパイプをもっておくことが大切かもしれませんね。

まとめ

途上国で直面する「賄賂」の問題は、原則「払わない」が正解。

それでも困った場合は、司法に訴えるか、もしくはローカルの専門家に間に入ってもらうことが有効。

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■プロフィール

野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

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