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ASEANシリーズ【第4回】ベトナムは第二の中国となれるのか?

   

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カトリーヌ・ドヌーブ主演の映画「インドシナ」は、19世紀後半から20世紀前半のフランス支配下にあったベトナムを描き、好評を博しました。またミュージカル「ミスサイゴン」は、ベトナム戦争下での悲恋を描き、ロングランとなりました。

このように映画・ミュージカルの題材としてよく取り上げられるベトナムに対しては、エキゾチックで情緒に富んだ国といったイメージをお持ちの方も多いことかと思います。しかし、そのようなイメージとは裏腹に、歴史的にフランスや米国の支配下にあったことや、ロシアや中国の強い影響下にあったことを背景に、厳しい歴史をくぐり抜けてきたという側面も持ち合わせているのです。

ベトナムでは、1976年のベトナム戦争終結を機に、南北が統一され、政治的な安定化が進められました。また、1986年の共産党大会では、社会主義に市場経済システムを導入する「ドイモイ政策」が採用され、工業化、近代化への道を歩み始めたのでした。

それから30年近くが経とうとしておりますが、現在のベトナムは、人件費の安さや中国へのアクセスの良さを活かし、中国に代わる「世界の工場」へと変貌しつつあります。これまでは、中国が「世界の工場」として大きく飛躍してきましたが、労働コストの上昇が進出企業に海外拠点の再配置を迫っているからです。このような背景から、現在ベトナムは、「ネクストチャイナ」として脚光を浴びるところとなっているのです。

これまで、ベトナムにおける生産物は低付加価値商品で占められていましたが、徐々に高付加価値商品へとシフトしつつあります。今後ベトナムは、「世界の工場」と呼ばれた中国に代わる海外企業の生産拠点として、どのように発展していくのかが注目されるところです。

連載第4回の今回は、人口9千万人を要し成長の著しい、ベトナムについて観察してみましょう。

前回記事はこちら

 

 

ドイモイ政策の実像

ベトナムは、ベトナム共産党の一党独裁による社会主義共和制国家で、集団指導による国家運営がなされてきました。1986年からは、ドイモイ(刷新)政策の推進が図られ、企業の自主権拡大、対外経済開放など資本主義的要素を取り入れ、人事面でも若手起用などの民主化が進められてきました。

第二次大戦以降、ベトナムは、中国と様々な軍事的衝突を繰り返してきました。現在にも、南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)や西沙諸島(パラセル諸島)の領有権を巡り争い、緊張感を高めています。その背景には、この海域で眠る、豊富な海底資源の存在があります。

中国と衝突してまで資源獲得に執念を燃やす背景には、ベトナムの産業構造に背景があります。ベトナムは原油、レアアースなどの鉱物資源や、天然ゴムなどの一次産品を産出しており、実は産業の60%以上は第一次産業が担っているのです。第二次、第三次産業の割合も徐々に増えてきてはいるものの、その成長は始まったばかりで、産業の高度化はこれからというところでしょう。

実際、ベトナムの一人当たりGDPは2,000ドル程度となっており、いまだに経済発展の初期段階にあります。今後は、いかに製造業の受け入れと技術移転を進め、それを経済成長に繋げていくかが大きなテーマとなります。ただ人口が9,000万を超えており、労働人口が若いことや、今後もドイモイ政策の推進が期待されることから、海外企業による進出受け入れが進むことが期待されます。

 

「ネクストチャイナ」として中国の代替地となれるか

日本からは、既に2万社近い企業が中国に進出していますが、中国においては、①反日感情の高まり、②法律・会計・税務制度への低い信頼、③人件費の高騰などの問題が顕在化しており、企業の中では、生産拠点を再配置する動きも出てきています。

そのような中、熱い注目を浴びているのが、中国に隣接し、豊富で安価な労働力を抱えるベトナムなのです。ベトナムには、およそ1,500の日系企業がすでに進出していますが、現在も新規の拠点設置や中国からの移転が増加しています。日本企業の進出が増えている背景には、日本によるベトナムに対するODA が高い実績を出してきたことにより、日本に対し好感を持つ人が増えていることがあるようです。

ベトナムへの進出における最大のメリットは、生産コストが低いことです。現在のアジアにおける労働コストを比較してみると、ベトナムは、北京・上海の1/3程度、バンコクの1/2程度と見られています。インフラの整備という観点では他国に劣るベトナムですが、新幹線の導入の検討が始まるなど、今後のインフラ整備への期待も高まるところです。

 

まとめ

アジアに進出している企業にとって、景気の減速や人件費の高騰が顕著である中国に依存することは、カントリーリスクとその分散という観点から、得策とは言えないでしょう。そういう意味で、第二の中国としてベトナムをとらえ、活用するという発想が、今後ますます求められてくることでしょう。

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