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中国の衛星国としての香港の役割とは?東アジアシリーズ【第5回:香港(後編)】

   

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香港と言えば、「食在広州」(食は広州にあり)と言われるように「食の街」、そして「金融の街」です。中国の金融市場として上海が台頭してきたことは事実ですが、金融インフラが構築され、ノウハウが蓄積されていることから、その重要性が減ることはないでしょう。

逆に、成長を遂げる中国の対外窓口としての機能が、これまで以上に発揮するとすれば、その存在感は特別なものになるのではないでしょうか。

連載の第5回目は、香港の文化や金融的な側面について、考察してみることにしましょう。

東アジアシリーズ【第4回:香港(前編)】記事はこちら

 

 

点心の街

タイヤメーカー・ミシュラン社が提供する、ミシュランガイドの格付けの正統性がしばしば議論されることがあります。その疑問点のひとつとして挙げられるのは、日本の三ツ星レストランは28に上り、フランス国内の27を越えていること、また、「食在広州」と言われてきた美食の街・香港は数年前まで三ツ星レストランがなかったことです。

香港のレストランは、味はともかくサービスの悪さが評価を落としていると言われてきました。近頃は、店側そして評価する側も見直しを進めたようで、近頃では4店に三ッ星がついています。ミシュランの星の数に、命をかけてその数を競うのも滑稽にも見えるのですが、ともかく「食の街・香港」の面目躍如といったところでしょう。

香港の「食」を代表するものと言えば、星のついたレストランよりも「飲茶」でしょう。これは、プーアールやジャスミンなどのお茶を飲みながら様々な点心(おやつのこと)を食べる地元の食習慣です。点心には餃子、焼売、包子(パオズ)、小龍子、大根餅などに加え、デザートに数多くの甜点心(てんてんしん)があります。日曜日には、丸テーブルを囲み一族がのんびりとお茶をしながら過ごす良き伝統といったところでしょう。

 

金融の街

中国の金融市場を代表する都市のひとつは上海であり、もうひとつが英国の統治下で世界の金融市場としてノウハウを積み、インフラを整備した香港でしょう。その香港は返還後19年が経過し、大陸化(中国本土化)する一方で、改革を進める中国の実験的役割を担っています。

その役割のひとつが、「金融改革」におけるオフショア市場の機能発揮です。その例として挙げられるのが、2010年にマクドナルドが外資として初めて発行した、「点心債」」と呼ばれる人民元建ての債券です。「点心」同様に小粒で美味しいと言われる起債方法で、資本市場育成の第一歩として、投資家から評価されたのです。

現在の中国は、「社会主義的市場主義」、つまり共産党独裁下において市場主義経済を進めようとしています。この掛け声に呼応する形で、当の中国人にも理解を越えた経済システムが成長してきました。その結果、貧富の格差や腐敗が進行するなど、様々な矛盾が発生しており、「中国危機」は金融市場の(可能性は低いが来れば大きい)テールリスクとなっている点は要注意です。しかし、自由貿易試験区が設けられた上海と共に、香港は中国の金融改革の行方を占う上で目を離せない存在となっています。

 

大中華圏の中心・香港

半世紀前、日本で打ちたてられた「雁行形態論」が注目されました。雁の群れは、リーダーが先頭を切って他の雁を引っ張りつつ飛んで行く事から命名された経済理論です。この理論では、東アジアの経済の発展プロセスを、①日本が先頭の雁となって輸出中心の産業発展を切り開く。②日本でのコストと生活水準が向上すると、低付加価値・低技術の産業が他の国に移る。③それらの国々が並んで日本を追いさらに別の国々に産業を移す、と予測しました。

この理論の通り、日本に続き、四小龍と呼ばれる台湾、シンガポール、韓国そして香港が経済発展を遂げました。ただ「世界の工場」となった中国の発展は想定外だったと言っても良いでしょう。今や、四小龍そして本家本元の日本は、中国経済の衛星的存在となり、中国経済への依存を高めています。

その中でも、中国および台湾、シンガポール、香港は同じ中国人の国家・地域であることから、「大中華圏」としてひとくくりで語られることが多くなりました。その意味で香港は、中国にとりなくてはならない存在となったと言っても良いでしょう。

 

まとめ

香港は、中国とは政治的・歴史的な違いがあることから、今後も北京政府に対する反発が根強く残ることになるでしょう。

しかし、香港は人口700万人程度と規模的には小さいものの、金融センターとして、また西側経済への接点や情報の窓口として、その機能を発揮し、中国にとってなくてはならない存在となり続けることでしょう。

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