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日本に求められる、東アジアに対する姿勢とは? 東アジアシリーズ【第6回】

   

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東アジアに位置する国々は、好むと好まざるとにかかわらず、中国の膨張する経済圏に取り込まれつつあります。そして、この経済的なつながりを背景に、韓国や台湾が、中国への接近を進めています。

日本も同様で、政治的には対立色を強めていますが、経済的には中国との分業による経済システムが構築されており、今後一層深化することになるでしょう。

2015年末には、ASEAN経済共同体(AEC)が発足し、ASEAN域内においては、ヒト・モノ・カネの障壁が低くなる方向へと進み出しています。同様に、東アジアにおいてもこの地域に位置する各国は、分業と共生を進めることになって行くと思われます。

それでは、本連載の最終回となる第6回では、政治・経済両面で中国の圧力が一段と強まる中で、日本がいかに東アジアで「共生」を図って行くかについて考えてみましょう。

前回記事はこちら

 

 

中国による遠交近攻策

中国の兵法書と言えば、「孫子」および清代に取りまとめられた「兵法三十六計」が挙げられます。後者においては、戦術が6つの状況に分けて論じられていますが、相手が手ごわい場合の戦術として、「遠交近攻」策(遠い国と手を結び背後からけん制させながら近い国を責める策)が推奨されています。

この策は、戦国時代の秦が、遠い斉や楚と同盟し、近い韓、魏、趙を攻め、やがて六国を平定し、大陸の統一を成し遂げた故事に倣う(ならう)ものです。現在の国際政治においても通じる戦術のひとつと言えますが、中国の経済、軍事両面における、地球規模での遠交近攻策が目立っています。つまり、近くの南シナ海や東シナ海で波を高め、欧州やアフリカで笑みを振りまくなど、そのコントラスト(対比)が強まっているのです。

2015年10月、南シナ海で米海軍の駆逐艦が、人工島から12海里内に進入し、航行の自由を行動で示す作戦が実施されました。南沙諸島に位置するスビ礁は、中国が埋め立てる前は、満潮時に岩が海面下に沈む暗礁だったとされ、国際法上領海として認められていませんが、米国はこのことを、行動で示したのです。その結果、中国艦船が米国の駆逐艦を追尾し、一触即発の事態となったのですが、今後もこの地域ではこのような緊張は続くことになるでしょう。

一方、それに先立つ習主席を歓迎する英国のお祭り騒ぎは、対照的でした。臣下の礼を尽くす叩頭(こうとうと読む。頭を地につけてお辞儀をすること)が「KOWTOWING(平身低頭の意味)」と新聞の見出しになるなど、キャメロン首相はまさに習主席に対し媚を売った印象を残しました。しかし、ここに至るまでの一連の関係緊密化努力が実を結び、400億ポンド(約7兆5千億円)の商談をまとめあげることに成功したのです。

これで、中国が進める新シルクロード構想のゴールは、ロンドンで決定したと言えるかも知れません。まさに英国は、中国の遠交近攻策の思うつぼにはまったと言うところでしょう。

 

「東アジアのルネサンス」から日本が学ぶべきこと

半世紀前、日本の経済学者・赤松要は、「雁の群れは、リーダーが先頭を切って他の雁を引っ張りつつ飛んで行く」とする経済理論を提唱しました。その理論通り、60年代から90年代にかけて日本がリーダーの役割を担い、後を追う四小龍(シンガポール、香港、台湾、韓国)が経済的発展を遂げました。この事実について、世界銀行は1993年の調査報告書において、「東アジアの奇跡」として称賛しました。

ただ、97年の通貨危機、および日本が「失われた20年」により停滞する一方で、中国が台頭し、アジアの発展モデルは変質しました。21世紀に入り、ITなどの新興分野において米国、中国および四小龍による分業システムが確立されたのです。

東アジアの国々は、「世界の工場」となった中国の経済圏に巻き込まれてしまいました。そして2007年に世界銀行は、この間の発展を「東アジアのルネサンス」と評価したのです。

現在、アジアは中国を中心とした大中華圏に、ASEAN、そしてインドが加わりダイナミックな発展過程にあります。この環境下において、東アジア、そして東南アジアの国々は、政治は米国圏に、経済は中華圏にという股裂き的な状況に陥っており、今後も様々な軋轢が生じるに違いないでしょう。そして、日本もこの潮流の中で「鎖国的」な対応を取ることなくアジアへの進出を図る必要があるでしょう。

 

まとめ

現在、アジアのGDPは世界の25%を占めており、20年後には40%に達すると見込まれています。日本国内では、自由貿易反対・移民反対と国内志向が強まっていますが、グローバル化が一段と進む事が予測される現在、日本はアジアにおいて「共生」を前向きに考えねばならないのではないでしょうか。

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