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2018年世界の5大リスク (エコノミスト斉藤洋二)

      2018/01/11

はじめに

今年も残すところわずかとなり、2017年を総括し18年を予測する季節が巡ってきた。振り返れば16年の最大のリスクイベントはブレクジット(英国のEU離脱)そして米大統領選でトランプ大統領が勝利したことだった。それを引き継いだ17年は英米発の「自国第一主義」の潮流が、それまでの自由と平等を掲げ協調を目指してきた世界的流れとの間で摩擦を起こし、その結果として嵐が吹き荒れる1年となった。

その中で最も世界を震撼させたのが東アジアとくに北朝鮮周辺の地政学リスクだった。この北朝鮮発の国際情勢の緊張は18年に持ち越されたが、東アジア以外にもさまざまなリスクの芽が生じている。それでは以下に18年に世界が直面する5大リスクとして米国、東アジア、欧州、中東、日本に焦点を当てて考えてゆきたい

サマリー

2018年世界の5大リスクと言えば、次のような国・地域・人を挙げることができる。それらは大きなリスクを内包しており、万一表面化すれば世界そして日本の政治経済は大きな影響を受けることになるだろう。

まずリスク事象のトップは米国だ。これまで米国は世界の警察官として指導的な役割を果たしてきたが、今や財政的にその役割を担うことが困難な状況になっている。さらにトランプ大統領が就任して以来「自国第一主義」へとかじを切ったことが世界の秩序を乱し、政治・軍事・経済・金融の各方面に様々な影響をもたらしている。つまりトランプリスクこそ17年に続き18年の最大のリスク要因だ。

そして第2のリスクは東アジア、特に北朝鮮および中国だ。北朝鮮は依然核実験やミサイル発射の開発を進めており、今後も米朝間において軍事衝突の懸念は深まる。一方米国と協調関係の維持を図る中国では5年に1度の中国共産党大会を経て習近平総書記への権力の集中が一層進んだ。今や習近平総書記は「紅い皇帝」と呼ばれ、13億人の国民と世界のGDPの15%におよぶ経済を有する大国をほぼ独裁的に統治する。この一個人への権力集中が中国の最大のリスクであり、習近平政権による国家運営は中国国内のみならず世界のリスクと言ってよいだろう。

さらに第3のリスクはユーロリスクだ。17年の欧州の経済は意外にも好調を維持し、政治も安定感を増した。なかでもドイツは欧州の盟主として寛容な移民政策を進めるなど指導力を発揮してきた。しかしここにきてメルケル首相への国内支持率が低下し、ドイツ国内のみならず欧州の政治が空白化する恐れが強まっている。欧州は英国とのEU離脱交渉を無難に乗り切る見通しが高めているが、極右勢力の伸長はやまず盟主ドイツが迷走すればEU統合という壮大な実験は再びぐらつく可能性を秘めている。

そして第4のリスクは中東だ。原油、天然ガスなど化石燃料の大半をこの地域に依存する日本にとって中東の政治的安定性は欠かせない。その意味でイスラム国(IS)問題が収束しつつあることは好材料ではあるものの、最大の産油国サウジアラビアで進む内政改革そして外交面での強硬路線が中東情勢液状化に向けての発火点になるかもしれない。つまりIS対策でシーア派のイランが周辺国との連携を深めて勢力を拡大している。それに反応してスンニ派の代表であるサウジアラビアが対決姿勢を強めていることから、18年のリスクのひとつとして中東とりわけサウジアラビアの動向には注意を要しよう。

そして第5のリスクはバブルの様相を呈しつつある日本が直面する経済・金融リスクだ。これは日銀の超金融緩和策に発する金余り現象でありクロダリスクとも言えよう。日本経済の好調はいざなぎ景気を越えて長期化しており、株価も26年ぶりに2万3千円を越えた。しかしこの緩和策を進めた黒田日銀総裁の任期満了が18年春に迫っており、目下この後任人事とともに金融正常化への動きを求める声も高まっている。したがって今後議論される金融政策の変化が5年にわたった円安・株高の好循環を断ち切り、日本経済に大きな衝撃を与える可能性がある。

以下、5つのリスクについて、より詳細に確認していきたい。
(2ページ目に続く)

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