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アダールカード問題に新たな動き 目的は税務だけ?

      2018/10/31

インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。

二転三転していたインドのアダールカード問題に9月26日大きな動きがありました。

以前もこのコラムで触れたインドのアダールカードですが、念のため説明しますとインド政府が全国民に普及させようとしているIDカードのようなものです。

インドではIDカードとしてはPANカード(納税者番号カード)が一般的ですが、子どもや主婦は所持していませんし、インドはそもそも課税最低限である25万ルピーに所得が達する人が少ない(意図的に少なく見せる人も含む)ので、国民全体に共通するIDカードが存在しなかったため、制度化されたのがこの「アダールカード」です。

「アダールカード」に関する最高裁の判断は?

今回、最高裁の判決でアダールの大まかな制度自体は合法であることを認めましたが、過度な情報監視や、多方面へのリンクは義務ではないとの見解が示されました。

以前、このコラムではインド人も外国人も、納税関連はもとより、銀行口座・携帯電話契約に関してもアダール番号が求められるようになり、期限内にリンクさせない場合は銀行口座が凍結されたり、携帯電話契約が自動で解約されたりする混乱についてお話ししました。

あの混乱は一体何だったのかという話になるので、結局最高裁の判断ではアダールのリンクが義務付けられるのは納税に関する事項のみと結論付けられました。

アダール問題は今後どうなるの?

そうなると結局、当初のPANカードだけでよかったのでは?とも思ってしまうのですが、とにかく我々外国人にとっては番号のリンク・登録という面倒な作業がスキップできるようになりましたので朗報と言えば朗報です。

ただそこはインドですので、判決が出たとしてもその情報が銀行や携帯電話ショップの窓口には行き渡っておらず、アダール番号を求められる可能性は否定できません

さらに一点指摘される問題は、このアダールのリンクをビッグビジネスと目論んでいたフィンテック界隈のインドのスタートアップ企業です。これらの企業は今回の判決を踏まえて大きな戦略変更を迫られそうです。これからもしばらくはこのアダール問題から目が離せません。。

まとめ

アダールカードのリンクは基本税務関連のみとの最高裁判決。
ただ実際の運用がどうなるかは注意が必要。

【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

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