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ASEANシリーズ【第1回】人口増加を背景に経済成長が期待されるASEAN

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アジアの市場

東南アジア諸国連合(ASEAN)は、昨年12月のASEAN経済共同体(AEC)の発足をきっかけに、更なる経済成長が期待されています。何より、この地域では人口ピラミッドが三角形に近いことに見られる通り、国民の平均年齢が若く、また人口も増加傾向を辿っていることが特筆されます。

現在人口が1億人を超える国は世界で12か国ありますが、そのうちASEANではインドネシアとフィリピンの2か国が1億人を超えています。そして2050年にはこの数は18となる見込みで、ベトナムなども圏内に入ってくると予想されています。

これまでの人口問題の研究によれば、人口が増加するところには発明や技術革新が起こる可能性が高く経済が成長することが観察されてきました。従って、今後ASEANにおいてもこのような経験則が当てはまると考えても良いでしょう。

今回スタートするASEANシリーズでは、インドネシアについては既に触れていますので(過去記事はこちら)、今後10回に渡りアセアン全体および9か国を順次観察することにしたいと思います。

 

▼目次

世界的な一大経済圏を築きつつあるASEAN

国連の推計人口及び将来推計人口(中位推計値)では現在の地球人口は70億人であり、21世紀には100億人を超えると予想されています。一方それ以上の人口増は、生物学的、環境的側面において様々な不都合がもたらされることから、その水準で人口増は止まるというのが一般的な認識となりつつあります。

かつてマルサスは「人口論」で、人口の増加ペースが倍々的であるのに対し、食料供給の増加ペースはなだらかである事から、食料不足により人口増大は頭打ちになると述べました。もちろんこの理論は一面の真理ではありますが、その理論では過去200年余りの急激な人口増の下での経済成長を十分に説明することはできませんでした。

これまで日本や中国の高度成長を後押ししたのは、「人口ボーナス」を背景とした人口増と言っても良いでしょう。この人口が増大する環境においてイノベーションや発明が起こり、労働生産性が向上してきたのです。

この点を踏まえ現在のASEAN10か国の人口を見ると、インドネシア2.5億人、フィリピン1億人、ベトナム9千万人、タイ7千万人、ミャンマー5千万人、マレーシア3千万人、カンボジア1.5千万人、ラオス7百万人、シンガポール6百万人、ブルネイ4百万人に達しています。どの国においても生産年齢人口の増大が見込まれ、今後若い労働力が熟練化することから、生産市場としての発展と中間層の拡大による消費市場の発展が期待されています。

10カ国の人口を合計すると6億2千万人になり、EU27カ国の5.3億人や米国、カナダ、メキシコが参加する北米自由貿易協定(NAFTA)の4.5億人と比較してもその人口の多さは明らかです。

また先進国における経済成長が鈍化する中で、シンガポールやブルネイを除く多くの国が5~7%の成長を達成しているのです。このように成長を加速させる大きな人口を持ったASEANがこれからどのような発展をするか注目を要するところです。

 

ASEANで強まる中国脅威論とAIIBへの期待

15世紀、明の時代において鄭和はアラビア海からアフリカまで4度にわたり大型船で大航海をしました。そのような歴史を踏まえ中国は、南シナ海が中国の内海だと主張しています。従って、西沙諸島を巡りベトナムと、また南沙諸島をめぐりフィリピンと争う状況がもたらされています。

このような中国の強硬な姿勢に対し、ASEAN諸国の間では中国に対する警戒心が急速に高まっています。一方、通商面において中国は、アジア・インフラ投資銀行(AIIB)を開設し、一帯一路を旗印にシルクロード構想を実現させるべくインフラ投資の推進を計画しており、ASEAN諸国との距離を縮めるかのような動きも示しております。

具体例としては、ミャンマーを通り中国とインド洋を結ぶルートを建設する計画がありますが、もし実現した場合のミャンマーの利益は計り知れません。このように中国によるインフラ投資の恩恵は、中国の軍事力の脅威に勝るほど大きくなっているのです。

 

まとめ

ASEANにおいてビジネスを考える場合、ASEAN諸国の事だけでなく、中国との関係性や中国の動きに対しても注意を払わなければなりません。

それらを踏まえた上で、同じアジア経済圏の一員である日本人、そして日本企業として、発展するASEANとの「共生」、つまりWIN-WINの関係構築を目指していくべきでしょう。

 

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