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外国企業との合弁契約その1

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こんにちは、弁護士の外海周二です。

今回から3回に分けて、日本企業が海外企業と合弁事業を行う場合に締結する、いわゆる合弁契約についてお話ししたいと思います。
1回目の今回は、合弁の概要と、合弁契約に盛り込んでおかなければならない事項について、ご説明します。

外国企業と合弁を組む背景

日本企業が海外進出する場合、単独資本で外国子会社を設立するケースもありますが、現地企業と合弁を組んで現地法人を立ち上げるということがあります。

その理由としては、現地企業の持つ販売網やノウハウを活用するためという場合もありますが、その国の外資規制により、100%外資での事業運営ができないといった法律上の制約による場合もあります。
また、既存の外国企業の増資を引き受けたり、株式の一部を買収することで、結果として既存の株主との合弁になるケースもあります。

合弁のリスク

合弁事業を行う場合、ただ単に外国企業から声をかけられたから、というのではなく、合弁を組むことで自社にどのような利益があるか、合弁相手は、自社にメリットのある相手であるか、という点をよく吟味して決める必要があります。

日本企業が海外で合弁を組む場合、役員を送り込んで合弁会社をしっかり管理していれば問題はありませんが、お金だけを出して会社経営を現地パートナーに任せきりにするケースも見られます。この場合、出資した資金が不正に使われたり、パートナーの関連企業に利益を移されたりするといった被害に遭っても長い間気がつかないということがありえますので、人を送らない場合でも、会社経営をきちんと把握しておくことが重要です。

また、相手企業の社長と将来のビジネスについて熱く語り合い、合弁を決めた時点では、将来その合弁が解消されるなどということは、考えもしないものです。しかし、合弁のリスクは、両企業の事業に対する考え方、方向性に食い違いが生じた時に顕在化します。このような場合に、円滑に事業の意思決定を行うことができ、場合によってはスムーズに合弁を解消、撤退できるようにしておくことが、非常に重要になります。

盛り込むべき規定

合弁契約では、まず、会社の運営、具体的には取締役会及び株主総会の運営についての合意事項を盛り込みます。

取締役会及び株主総会の運営は、当該国の会社法など現地法の規定に服しますが、当事者間において、取締役の定数や、各当事者が指名できる取締役の数、代表者の決め方、運営の方法(ビデオ会議による取締役会開催など)、決議の方法(書面決議など)について決めておきます。こうした内容で定款に定めることのできるものについては、会社の定款に反映させておくことになります。

取締役会、株主総会の決議要件については、現地法により決められた範囲(議決権の過半数による賛成など)を超える内容に当事者の合意で変更することはできません。しかし、合弁契約においては、少数株主である当事者の利益を保護するために、取締役会、株主総会それぞれの決議に関し、合弁の両当事者(またはその指名する取締役)の賛成がなければ会社が行うことのできない事項を規定することが一般的です。

これを規定した場合、合弁会社は、対象となる一定の行為(新株の発行、重要な資産の譲渡など)を、少数株主の意思を無視して行うことができなくなります。しかし一方で、両当事者が反目して重要な経営判断ができなくなる、いわゆるデッドロックの状態に陥る可能性がありますので、その場合の解決方法を決めておく必要もあります。

合弁契約では、その他に、経営に関する報告・監査、将来の追加出資義務、当事者から合弁会社への部品供給や知的財産権のライセンス、配当政策などについても規定することがあります。

まとめ

合弁において一般的に規定される株式の譲渡制限に関し、一方当事者が株式を第三者に譲渡しようとする場合の当事者の権利義務、及び合弁解消時の株式の帰属に関するルールについては、重要かつ複雑ですので、次回以降に詳しくご説明します。

▼バックナンバー
第1回 販売代理店契約その1
第2回 販売代理店契約その2
第3回 製造委託契約

<著者プロフィール>

外海法律事務所 弁護士 外海周二氏

東京大学法学部卒。2003年弁護士登録。米国ボストン大学ロースクールにてLL.M(法学修士)を取得し、米国ニューヨーク州弁護士の資格を保有。シンガポールの現地法律事務所で1年間勤務した経験を持ち、日本企業の海外進出支援及び海外取引契約の作成などに数多く携わっている。
http://www.tonogai-law.com/

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