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【TPP11・日欧EPA/FTA】今までのEPA/FTAとここが違う! 

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海外企業との貿易

海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。

メディアでも盛んに報道されていますが、昨年末12月30日にTPP11(正式にはCPTPP)が、今年2月1日に日欧EPA/FTAが発効しました。これにより輸入国での関税が撤廃あるいは削減される運びとなりますが、多くの企業さんが内容を正確に理解されているとは言い難い状況です。

そこで、日本が今までに結んでいるEPA/FTAと比べて何がどう違うのか、活用するにはどのようなことをすればよいのか、という主要ポイントをお知らせします。(細かい条件は個別案件毎に判断するのが効率的ゆえ、ここでは詳細は述べません)

これまでのEPA/FTAとの違いが分かる5つのポイント

①新たにカナダ、ニュージーランド、EUとEPA/FTA締結(今までは協定なし)

今までEPA/FTAを結んでいなかった2国、1地域との貿易で関税が削減されることになります。一方でベトナムやシンガポールとはTPP11で3つ目のEPA/FTA協定となるので、3つの異なる協定の中から最も有利なもの(最も低率な条件)を探すという作業が発生します。
ちなみにカナダのGDPは約1兆6千5百億ドル(2017年、世界銀行)で関西2府4県の2つ分、ニュージーランドのGDPは約2千億ドル(2017年、世界銀行)で千葉県や埼玉県(共に約20兆円)と同レベル、EUは約15兆3千7百ユーロ(2017年、ジェトロ)と日本の3倍以上、という経済規模です。

②自動的に関税は下がらない。下げるためには原産地証明制度に基づく「書類」*が必要(既存EPA/FTAも同じ)

*通称「特定原産地証明書」と言います

EUから日本にワインを輸入すれば自動的に日本の関税が下がる、なんてことはありません。日本に輸入する際にはしかるべき「書類」が必要です。その書類には、どういう根拠でxx国の原産なのか、という根拠を示さなければなりません。根拠の書類も必要です。

③特定原産地証明書を自社が発行する(既存EPA/FTAでは日本商工会議所が発行)

既存のEPA/FTAの特定原産地証明書は日本商工会議所(およびその地方事務所)が判定と発給を行いましたが、TPP11と日欧EPA/FTAでは自社発行の書類だけが認められます。これは、時間と費用の削減、すなわち利便性や費用面でメリットがあるということですが、一方で自社が書類作成において責任を持つ、ということです。

④相手国税関から直接事後調査があるかもしれない(既存EPA/FTAでは間接調査)

輸入国の税関は、疑義のある原産地証明関連書類に対して事後調査(検認と言います)を行うことができます。TPP11では輸入国税関が直接輸出元企業に乗り込んでくる可能性があります。日欧EPA/FTAでは直接の検認はありませんが日本の税関を経由しての検認となります(日本の税関職員が企業さんの各種書類をチェックしにきます)。日本語での根拠書類以外に英語での書類作成という作業が求められるかもしれません。

⑤原産地を認定する条件が地域での合計で試算できる(既存EPA/FTAでは限定的)

累積という制度があり、TPP11やEU域内国産の部品・材料をみなし原材料として合算することができます。複数の協定締約国において付加価値や加工工程を足し上げることで原産性を判断することができるので、新たなサプライチェーンの構築が可能となります。

まとめ

注目される「TPP11」、「日欧EPA/FTA」を理解・活用するための主なポイントを解説しました。特定原産地証明書の自社発行を正しく行うことで、関税削減(撤廃)などのメリットを享受できる可能性があります。
次回は、具体的にEPA/FTAを利用することで自社製品がどのくらい関税削減(撤廃)されるのか、その調べ方等の手順についてご紹介します。

【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)

大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングサービスを、ジェトロや中小機構などの公的支援機関および民間企業向けに提供している。
URL: https://sub.toro-llc.co.jp/

 

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