海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。
前回は、海外展示会の出展者リストから取引先候補を選び出す方法をお伝えしました。
今回は、そうして選んだ相手にいかにしてコンタクトするか、ということをお話しします。
自分だったらどうする? ゴミ箱行きか、取りあえず目を通すか?
目指す相手の連絡先が分かった!早速初回コンタクトだ!
でもその相手とはまだ一度も会ったことはありませんね?もし自分宛てに、あるいは会社宛てに見ず知らずのところからメールやDMが届いたらどうしますか?
開封すらされずにゴミ箱へ直行するメールとならぬよう、コンタクト方法にも工夫を凝らしましょう。
新型コロナウィルスの影響で海外渡航に厳しい制限がかかっているのは相手側の国も同じです。渡航再開された時に「知らない」間柄ではないレベルまで引き上げることを目指し、今は「未知」の取引先候補とのコンタクトを開始しましょう。
eメール
コミュニケーションツールとして20世紀から存在するeメールですが、未知の相手から届いた場合は総じて読まれにくいものです。担当者名が不明の場合、info@とかに送っても返事が来ないことがほとんどです。
SNS
今やコミュニケーションツールの王道となった感のあるSNSですが、基本的に「人とのつながりを強化する」ツールです。仕事中にSNS?という企業さんがあるかもしれませんが、法人にお客さんがつく日本と違って、個人にお客さんがつくことの多い外国の企業相手ゆえ、そこは柔軟にとらえましょう。ゴリゴリと新規顧客開拓をするという姿勢では相手から拒否されることもあるので、中長期的視野で人間関係を構築する、というくらいの意識で臨みましょう。
相手が企業名でSNSに登録しているところならば、その企業で働いている人リストなどがわかるので、そういう検索もしてみましょう。
- 原則として面識ある人とつながる。面識ない人とつながる場合は、SNSの共通のグループなどに参加する。
- 個別に挨拶する。
- 定期的に投稿する。
- つながった人の投稿に反応する。
SNSは個人での参加が主、ビジネス(企業名)のアカウントは従という位置づけです。営業PRというよりも、商品の使い方紹介、商品の新しい使い方募集、という柔らかめの内容がいいでしょう。
投稿頻度はSNSツールによって異なりますが、月に数回は投稿することを心掛けたいものです。
SNSをビジネスに活用する方法として、2016年11月8日付けハーバード・ビジネス・レビューの記事(英語)が役に立ちます。
https://hbr.org/2016/11/84-of-b2b-sales-start-with-a-referral-not-a-salesperson
アナログ
アナログコミュニケーションの代表格と言えば、手紙やカードです。いまさら感満載ですが、綺麗な封などを選べば開封率がぐんと上がります。開封されれば目を通してもらえる可能性も上がります。ポイントは、DMっぽくない封書というところでしょうか。
アナログでのコンタクト方法としては、
- 相手側国の行事やイベントにからめる(代表的なものは年末のクリスマスカード)
- こてこての日本的なもの、日本のサブカルチャー的なものは目を引く
- こちらのメンバー(チーム)写真なども添える(顔がわかると安心する)
- まずは関係構築を念頭においたメッセージを送る(営業PRはまだ早い)
ということに留意されるとよいでしょう。相手側国の行事やイベントは、祝日休日、宗教行事などをチェックしましょう。
紙のクリスマスカードすら珍しい時代に、日本から綺麗な郵送物(クーリエ含む)が届いたら人目をひくことでしょう。
まとめ
取引候補先にいきなりeメールを送っても返事をもらえる確率は非常に低いものです。SNSを活用し、中長期的視野で「知っている」間柄を構築することから始めましょう。いまさら感に満ちていますが、日本の綺麗なカードや封を使ってのアナログアプローチも効果的です。
▼バックナンバー
第1回 【在宅勤務でもできる海外市場調査】自社製品カテゴリーの貨物が日本からどの国向けにいくら輸出されているか?
第2回 【在宅勤務でもできる海外の取引先候補探し】海外出張せずに現地取引先候補を探すには?
第3回 【在宅勤務でもできる海外市場調査】台湾から自社の競合製品がどのくらい輸出されているか?
【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)
大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングサービスを、ジェトロや中小機構などの公的支援機関および民間企業向けに提供している。
URL: https://sub.toro-llc.co.jp/