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韓国による中国接近の背景とは?東アジアシリーズ【第3回:韓国編】

      2016/03/14

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現在、中国および東アジアの周辺諸国は、領土問題そして歴史問題を巡り、様々にせめぎ合っています。特に日本においては、尖閣諸島をめぐり中国、台湾と、そして竹島をめぐり韓国との争いが激化し、日本とそれぞれの国の関係は冷えた状態が続いています。

また、日本と韓国や中国との対立は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産の登録へと飛び火するなど、そのせめぎ合いはますます激しさを強めています。

このような環境下、昨年の12月に日韓外相会議が行われましたが、そこで交わされた慰安婦問題などについての合意内容が具体的に実現され、日韓が歩み寄ることができるのかどうかが注目されるところです。

一方、中韓関係はもともと歴史的にもつながりが深いのですが、習政権が誕生して以降、両国において緊密な関係が構築され、米国が警戒する程に接近しています。

連載第3回目の今回は、ユネスコを舞台にして演じられている日中韓の歴史問題、および中韓蜜月の実情を検証しながら、現在および今後の韓国の動向について考えてみましょう。

前回記事はこちら

 

 

世界記憶遺産を巡るせめぎ合い

「シベリア抑留」は、戦後満州にいた日本兵など推定70万人が、極寒のロシアにおいて、長期にわたり強制労働を課されたことを言い、資料・写真などと共に2015年10月にユネスコの世界記憶遺産に登録されました。しかしロシアは、この登録にあたる事実認識について、乱暴に歪曲していると批判しました。

その根拠は、ロシアは終戦日を1945年8月15日ではなく9月2日としており、9月2日以前の拘束は「抑留者」ではなく、合法的な「捕虜」であるとしているのです。このように、ユネスコにおける世界記憶遺産の登録は、当事者、関係者に様々な波風を立てることになっています。

さらに、「明治日本の産業革命遺産」の登録においても、日本が韓国に対し「強制労働」を行っていた事実について、韓国の主張が通りました。そして、「慰安婦」の歴史が韓国からユネスコの記憶遺産に申請され、登録される見込みが強まっています。

一方、中国との関係においても、南京大虐殺事件の関連資料が中国により申請され、登録されました。今後、日韓のみならず中国を含めた三国間における歴史認識問題は、ユネスコをはじめさまざまな場面でますます激しさを増すでしょう。

 

ユネスコの理想と現実

「心の中に平和のとりでを築く」ことを合言葉に始まったユネスコは、設立から65年が経過し、巨大で有力な機関へと発展しました。そのユネスコが登録する遺産には、世界遺産、世界記憶遺産そして無形文化遺産があります。

世界遺産に登録されれば観光収入が増えるなど、今やユネスコのお墨付きさえもらえば経済的、政治的に様々な利益を得ることができることが明らかとなっただけに、各国ともに利益誘導に必死となっています。

このように、各国がユネスコを利用する中で、とりわけ中韓が国益を図る状況に不満を感じる日本は、ユネスコから手を引くべきだとの意見も出ています。ユネスコへの拠出金は、米国の22%に次いで日本が11%と2番目の出資比率となっており、なぜこれだけ資金を出しているのにユネスコは日本に不利益な決定をするのかと、その不透明さ、不公平さに対する不満の声が高まっているようです。

 

中韓蜜月

ユネスコの登録をめぐる争いを通じても日韓関係は悪化していますが、一方で、中韓は接近の度合いを強めています。

2014年7月、習近平主席が就任後初めて2日間の日程で訪韓し、朴槿恵大統領と首脳会談を行いました。青瓦台(せいがだいと読む。韓国のソウル特別市の北岳山の麓にある大統領官邸のこと)での歓迎風景は、李朝時代に宗主国・清国から高官を歓迎する式典を彷彿させるもので、中韓関係の歴史的な深さが垣間見えるものでした。

この習主席の訪韓は、北朝鮮訪問よりも先行した点において異例であり、両国が、核化する北朝鮮への懸念を共有していることが明らかとなったと言えるでしょう。また、抗日という共通の歴史を有している点や、安倍政権による集団的自衛権の解釈変更への反発など、今後反日で共闘することが確認されたと言って良いでしょう。

これまで、韓国は経済、軍事両面で米国に依存してきましたため、現在でも米国への一定の配慮をにじませています。しかし、既に習・朴両首脳は数回にわたり会談を行っており、韓国の対中接近は明白となっています。

韓国における対中貿易は、15年前には貿易額全体の10%にも満たなかったのですが、その後の伸びは目覚ましく、今や日本や米国との貿易総額を遥かに上回るようになりました。

また、駐韓米軍の存在があるため控えめではあるものの、北朝鮮に対する牽制効果の観点から、米国から中国へと政治的な軸足が移りつつあることも鮮明となったと言えるでしょう。

 

まとめ

中韓の接近には、抗日70年という共通の歴史的背景があり、残念ながら、そこには未来志向は見受けられません。今後、韓国による中国への接近を背景に、東アジアは中国対日米の対立軸を明確にしながら緊張が高まってゆくと言わざるをえないでしょう。

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