「OEM契約」や「ODM契約」、「ライセンス契約」という単語、みなさんも一度は耳にしたことがあるでしょう。
中国との取引の際にも一般的に使用されるこれらの契約形態ですが、それぞれの特徴について、取引前に理解を深めておくことが大切です。
▼目次
OEM契約とODM契約
混同されがちなOEM契約とODM契約。ここで両者の特徴をチェックしていきましょう。
OEM契約とは
(▼図表1参照)
OEM契約では、自社製品の設計や製作、組み立てに関する図面を取引会社へ支給して、生産を委託します。主に家電や自動車のほか、食品や衣料分野で取り入れられています。生産にかかる設備投資が抑えられるのがメリット。そのため開発や広告へ資金を回しやすいという特徴があります。
ODM契約とは
ODMは、Original Design Manufacturingの略です。自社ブランドの製品の設計から生産までを委託する契約形態を意味します。
携帯電話やパソコンなどの業界で採用されているODM契約。中国だけではなく台湾との取引でもよく見られる契約形態です。受託企業によっては、マーケティングや物流、販売までを一貫して担当する場合も。
【図表1:OEM契約とODM契約の違い】
ライセンス契約
OEM契約とODM契約のほかに、類似の契約形態にライセンス契約というものがあります。
ライセンス契約とは
商標権や著作権、特許技術などの知的財産権の利用を許可する契約形態です。ライセンスを提供する側を「ライセンサー」、受ける側は「ライセンシー」と呼ばれます。
ライセンシーは当該製品の製造、販売を前提に契約するのが一般的です。キャラクターや商標を製品につける場合には、ブランドイメージに合わせて製造、販売する必要があるため、品質管理とイメージ管理力が問われます。またライセンス契約では、製品に限らず、ノウハウや技術、著作に関しても適応されます。
ライセンサーにとってのメリットは、自社で生産を行う場合と比較して利益率の高い収入源を得ることができる(自ら生産を行う事なくライセンス収入を得ることができる)ことです。一方、ライセンシーにとっても、ライセンサーが持つ技術・ノウハウを得て、自社の技術向上に生かすことができるというメリットがあります。
中国との取引でどの契約形態をとるのか?
経営戦略を練るうえで、どの契約形態をどのように活用していくかが重要です。一般的にOEM契約は、自社製品の設備投資などの製造コスト削減を狙う際に活用されます。
それに対し、ODM契約の場合は、ノウハウのない分野において、開発力やノウハウのある外部企業に依頼することで効率的かつ高品質な製品生産が可能です。そのため、新規参入分野において活用されることが多く、コストと時間の削減に有効とされています。
また、ライセンス契約は、知的財産権の利用を許可する契約のため、利用可能範囲を取り決めておくことが大切です。契約の際に細かな取り決めを怠ってしまうと、両社の認識に相違が出るためトラブルなりやすいとされています。
まとめ
今回OEM契約、ODM契約、ライセンス契約について、それぞれの契約形態と特徴等は図表2のように整理できます。
中国との取引をお考えの方は、これらの契約形態の特徴と自社に与えるメリット、デメリットを理解したうえで検討していきましょう。
【図表2:OEM契約、ODM契約、ライセンス契約の特徴】
【ご参考:JETRO 貿易・投資相談Q&A】
・「OEM生産とODM生産の違い」
・「OEM契約とライセンス契約の違い:日本」
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