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【海外企業との取引リスク管理方法】企業情報の収集と取引信用保険の活用

更新日:

Digima Journal(2016, autumn Vol.7)より転載
※Dijima~出島~(https://www.digima-japan.com/

▼目次

海外企業の信用情報を取得するには?

海外ビジネスを行う上で特に重要となる「信用調査・与信管理」、そして「海外取引信用保険」について掘り下げていきます。

取引先企業の信頼度を測るためにまずすべきは、その企業の情報収集をすることです。方法は様々にありますが、代表的なものは、「ホームページなどの公開情報から取得する」「直接、当該企業にヒアリングする」「登記などの公的な登録情報を閲覧する」「上場企業であれば株式市場の情報や開示情報を閲覧する」「世界の大手格付け機関の情報を閲覧する」、そして「海外信用調査機関から情報を取得する」などが挙げられます。

最も簡単に実施できるのは、ホームページなどから取得する方法ですが、情報の客観性が担保されていないことや、情報が不十分なケースが多いことなどから、信用調査には向いていません。その他の方法も、ある程度の客観性や信憑性は高いものの、情報を得るために非常に労力を要したり、専門的な知識やノウハウが必要となってくるものもあるため、あまり現実的とは言えません。ましてや、言葉や距離の壁がある海外企業について、価値ある情報を自力で得るのは大変な作業となります。

海外信用調査機関を利用しよう

以上のような理由から、少々コストはかかっても、「海外信用調査機関から情報を取得する」といった方法が一般的に広く活用されています。

一口に調査機関と言っても、全世界規模で展開している企業もあれば、ある国に特化した企業、海外現地日系企業など、内情は様々ですが、彼らが提供してくれる調査レポートは、多くの場合、彼らの抱える調査員が現地で経営ヒアリングや実地調査などを行うとともに、登記簿や決算書などの書類により総合的に調査し、10ページ余でまとめたものになります。

主な項目は、財務状況に始まり、上場区分や資本金、事業内容、取引銀行、従業員数、主要取引先、売上高など。また、企業自体に対するヒアリングを行った上で作成されているケースも多いようです。そのため、新規事業や、組織改変の進捗などといった一般に公開されている情報よりも「濃い」情報が得られるのです。

ただし、当然のことながら個々の企業や国の事情によって情報の「濃さ」には差があります。例えば、同じ東南アジアの国でも、ベトナムやタイにおいては決算書の入手が比較的、容易である一方、インドネシアなどでは入手が困難と言われています。そういった差も考慮しながら、まずは情報を取得していきます。

信用情報に基づく与信管理

このようにして得た情報をもとに「与信管理」をしていきます。つまり、与信限度額や求めるべき決済条件を設定していくのです。

まず、取得した調査レポートに記された格付けや、その格付けごとの倒産確率などを参考に、取引先の信用度を社内格付けします。そして、その社内格付けに応じた決済条件や与信限度額、取引方針を決め、それらに基づいて自社としての与信判断を下していきます。

一般的に、ほとんどの企業が「国内の」与信管理に関する社内規定を設けています。ところが、海外企業に対してとなると規定を設けている企業は少なく、国内の与信管理規定をそのまま使っているか、具体的な情報のないまま与信管理を行ってしまっていることが多いのが実情です。

カントリーリスクをはじめ、信用情報の種類、決済条件など、与信管理を取り巻く環境は、国内と国内では大きな差があります。極論すると、法律や会計制度の異なる国別に規定を設ける必要があるのです。海外ビジネスを行っていく上では、海外向けの与信管理規定を整備することは、リスク管理の観点から見れば、必須となってくるでしょう。

さらに、取引開始後も、定期的に取引先の信用情報をアップデートし、与信限度額・決済条件の見直しを行う必要があります。例えば、倒産などの事故は、新規取引先だけでなく、既存の取引先にも生じます。取引先が支払条件の変更を求めてきた場合などには、その理由を把握し、対策を立てる必要も出てきます。

海外取引における支払条件とは?

取引先の信用が担保でき、いざ商品の輸出入などを行うとなった場合、海外取引における支払条件を大別すると、「代金前払い」「信用状(L/C)付荷為替手形取引」「代金後払い」があります。買主の立場から見た場合、上から順に債権回収のリスクが高くなってきます。

売主の立場からすると、「代金前払い」が最も望ましいですが、その分相手方がリスクを負うことになりますので、よほどのことがない限り承認されることはありません。また、「信用状(L/C)付荷為替手形取引」も安全ですが、L/C開設(発行)に費用がかかる他、取引先によっては、例えば、銀行側の審査に落ちるなどの理由により、そもそもL/C開設ができない場合もあります。ちなみにL/Cとは、”Letter of Credit”の略で、銀行が発行する支払い確約書です。信用状取引により、銀行が立替を行ってくれるため、輸出者は船積みと同時に輸出代金を回収することができる上、輸入者にとっても、輸入代金を前払いする必要がなくなります。
与信は、こうした支払い条件によっても管理していくことができるのです。

取引信用保険によるリスク管理を

さて、そうした与信管理を行ってもビジネスにリスクはつきものです。どんなに対策を取ったとしても、「取引先の会社が突然潰れてしまった」「中国企業に商品を注文し、すでに代金も支払ったが、一向に商品が届かない」などといった事態が発生するリスクは常にあります。こうした事態によって、好調だった一気に傾くというケースも少なくありません。特に海外ビジネスにおいては、十分すぎるほどの対策を取っておくべきでしょう。

これらのリスクをさらに低減し、計算できるようにするのが「取引信用保険」です。これは、取引先の倒産や支払遅延などによって、継続的な売買における販売代金を回収できなくなった場合に、その損害の一定部分について補償される保険です。一定額の保険料で、不測の損失に対応できるため、バランスシートやキャッシュフローの保護につながります。

取引信用保険は欧米において発達してきた保険商品ですが、日本でもバブル崩壊などによって、その重要性が指摘され、企業のニーズが高まりました。今では、外資系専門の信用保険会社のみならず、日本国内の保険会社が様々な商品を提供しています。それぞれ保険料や対応範囲が異なっていますので、自社の行っている業務と照らし合わせ、検討することが大切です。

(文・Dijima Journal編集部)

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