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インド債権回収の実例【日本企業の直面するトラブル15】

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インド在住公認会計士の野瀬です。

最近、再びインドにおける債権回収に関する問い合わせが増えてきましたので、今回は債権回収の注意点を共有したいと思います。

▼過去記事はコチラ
ローカル企業相手の債権回収
インド債権回収の実際

インドに拠点を持たないような日本企業のよくある落し穴として、一番多いのが「なしのつぶて」作戦です。

請求書を送っても全く返事がない。メールも返信がない。電話をしても担当者がいないと言われる。訪問するにもお金がかかるので何度も何度も催促するも返事は一切なく埒が明かないケースです。

彼らインド企業がどうしてこのような手を取るかというと、彼らは「時間切れ」を待っているのです。理由は以下の通りになります。

①海外送金できませんという言い訳を使う

インドでは、インボイス日付から6カ月たってしまうと、銀行がそもそも海外への送金を認めてくれません。そのため、彼らはわざと連絡が取れない振りをして「送金したいんだけど、銀行が認めないんだ」と言い訳をします。

これは実際の規制なので本当に送金することは出来ません。この場合はすぐにインボイスの再発行を手配しましょう。

②我々に義務はないという言い訳を使う

基本的にインボイス日付から3年を超えると、実は債務者側に支払い義務は生じなくなります。そのため彼らはこの3年という期限を今か今かと待ちわびています。その期間に一度でも一部でも送金があれば、その日からまた3年が起算されるので、もし「お金がないから」という理由で送金を渋られたら、たとえ10分の1でも送金をもらっておけばよいでしょう

また債務者側に明らかに「違法行為」が認めらえる場合は、3年を超えても例外的に支払い義務が認められます。もし3年を超えている場合でも弁護士に相談して「違法行為」の有無を争えないか確認すると良いでしょう。

③海外から取り立てに来ない・裁判をしないと判断している

彼らは最初から「わざわざ海外から取り立てには来ないだろう」と判断している節があります。実際に経理担当者が飛行機でインドまでやって来る交通費・宿泊費その分の日当などを考えると取り立てのためだけにわざわざ現地訪問をするのは考えにくいです。また仮に訪問しても「担当者はいません」と居留守を使い①②の先延ばし作戦を実行します。

またそれでも「払わない」と言い続けるのは、「わざわざ裁判を起こしたりはしないだろう」という判断もあります。実際海外で裁判を起こしたら書類に必要なサインなどもあり、会社側の責任者がインドに来る必要があると思われています。
しかし実際は、代理人を立てることで裁判は可能ですので、債権を踏み倒されないようにキチンと現地の弁護士や専門家に現状を説明し相談すると良いでしょう。

インドであれば、その相談した弁護士に前金を要求されて、さらに「なしのつぶて」になったという笑えない事例もありますが、そのあたりはある程度の知名度のある弁護士事務所に相談すると良いかと思います。

とにかく私も仕事をしていて、債権を踏み倒されている日本企業をたくさん見ていますので、このあたり諦めずにとれる手段をしっかりとってほしいと思います。

1)取引は基本前金、それが無理でも50%は前金をもらう
2)現地に懇意のエージェントがいることをちらつかせる
3)実際にトラブルになったらしっかりとるべき手段をとる 泣き寝入りしない

まとめ

・債権回収トラブルは泣き寝入りしない。とるべき手段をしっかりとる。
・彼らは「時間切れ」を狙っている。6カ月のリミット、3年のリミットを意識すること。また以下の点は取り引きを始める前から常に意識すること。

1)取引は基本前金、それが無理でも50%は前金をもらう
2)現地に懇意のエージェントがいることをちらつかせる
3)実際にトラブルになったらしっかりとるべき手段をとる 泣き寝入りしない

【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

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