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日本企業の直面するトラブル⑪上がり続けるインドの「コスト」とどう向き合うか(公認会計士 野瀬大樹)

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デフレが続く日本にいるとあまり肌感覚としてわかりにくいのですが、インドのような途上国の場合、基本的に企業のコストは上がり続けます。未だ売上があまり伸びず苦しむ日本企業が多い中この「コスト増」がさらに追い打ちをかけています。今日はそんなインドの代表的な「コスト増」についてお話したいと思います。

▼目次

悩ましいコスト増①:従業員の給与

以前も本コラムでお話ししましたが、インド人従業員は「給料は毎年10%以上は上がって当たり前」と思っている人が大多数です。統計によると日系企業に限るとこれがさらに跳ね上がってなんと14%!!! とにかく毎年の昇給圧力が高いのです。

当然、日本人駐在員の給与は日本のルールに従っているので年1~2%程度しか上昇しないので、「要求通り昇給していたら、いずれ全員、現法社長の日本人の給与を抜く」という笑い話もあるくらいです。
ただ、彼ら彼女らも下記のように自身の生活コストも上がり続けているので致し方ない部分もあるのだとは思います。

悩ましいコスト増②:家賃

こちらも給与と同様、オフィスや住宅の大家さんも「家賃は毎年10%上がって当たり前」と思っている節があります。そのため契約書に「家賃は毎年10%上昇します」と明記されることが多く、さらにその契約が3年や5年(場合によっては10年も!)契約になっているケースもありますので、契約書を作成するときは注意が必要です。
駐在員の家も同様で、こちらの場合、給与同等物扱いになり所得税が課税されますので、さらに頭が痛い問題です。

悩ましいコスト増③:水道光熱費

ここ数年は緩和されましたが、以前は電気料金が毎年のように上昇していました。インドは原油の大量輸入国ですので、ルピー相場の変動により電気料金のコストが上昇し、それが電気料金に跳ね上がってくる仕組みになっています。以前は電力不足から停電も多く、消費者側からも「仕方ないか」という半ば諦めに似た感情があったことや、いわゆる盗電が多く電気量金を負担せずに消費しているケースがあるのも原因と思われます。

悩ましいコスト増④:税金

これはもう皆さんご存知ですね。
毎年の税制改正でも、その改正の方向性は「お金持ちからたくさんとる」という方針が貫かれていますインドではお金持ちに区分される日本人駐在員やその雇用主たる日系現地法人からすれば、毎年税負担が増える形になります。
また7月より導入されるGST(インド物品・サービス税)により、間接税の税率が大きく上がる企業が増えます。インドが外国企業や外国人にとっての減税に舵を切るのはまだまだ先のようですので、しばらく負担増は続きそうですね。

まとめ

毎年の「コスト増」はインド進出企業にとって当初計画で織り込まれていないケースがほとんど。
基本コストは人件費含め10%増加するという保守的な見積りに基づく事業計画が必要。

■プロフィール

野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

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