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日本企業の直面するトラブル⑦「ダメ元」が当たり前の契約交渉 (公認会計士 野瀬大樹)

      2017/10/19

昨年の12月は、自宅の大家さん、事務所の大家さん、あとは取引先のインド人弁護士事務所と契約更新を行う時期だったのですが、毎年この季節は骨が折れます。とにかく日本とは勝手が違うのです。今回はそんなインド人との契約交渉で日本人が直面しやすい問題点についてお伝えします。

とにかく「貪欲」

これは100%当てはまるわけではないですが、傾向としてインド人との交渉はとにかく「貪欲」から始まります。例えばM&Aにおける価格交渉でもこっちが桁を間違えたかと思うほど強気の値付けを持ってきます。しかも折れない…(笑)。正直第三者として眺めていても「ここで妥協して毎年少しずつ利益をとったほうがいいんじゃないか?」と思うこともあるのですが、なかなかそうはいきません。

実際は日本本社サイドではもう投資することは決まっているので、結果としてかなりの高値でターゲットの会社をつかまされる(私からはそのように見える)ケースが多いので、インド人側も味をしめているのかもしれませんね。

とにかく「早く」

インドはトップダウンの国だからか、とにかく意思決定が早い。逆に日本は調整と根回しの国なので、インド側が契約書ドラフトを作ったあと日本サイドがその内容を吟味していると、矢のような催促が来ます。毎日メールで「まだか?」「なぜそんなに時間がかかる?」「やる気がないなら早く言え」などなど。

日本の稟議システムなどを説明してもなかなか理解してもらえず苦労することが多いです。彼らとしても時間がかかると自分たちを蔑ろにしていると感じるようで稟議を待っている間にインド側の機嫌を大きく損なってしまうこともしばしばです。

とにかく「交渉」

「貪欲」のところで「とにかく折れない」と書きましたが、先方が貪欲である以上こちらはそれでも交渉をせざるを得ません。一応インド側もいわゆるダメ元で提案している部分もあるので、場合によっては「これでは契約できない」と契約解除や交渉決裂をちらつかせて初めて開ける道があります。

このあたり向こうの主張に負けることなくどんどんこちらの主張をきっちり「伝える」ことが大切になります。私はよくインド人との交渉の場に立ち会うことがあるのですが、日本の方はその場では何も主張しないのですが、あとで帰り道に「あの点だけは絶対に譲れないから後で伝えておいてください」と言われることが多いです。

「それなら日本語でもいいのでその場で言ってくださいよ」と思うのですが、このようなケースが多いのは事実ですし、私から後日伝えても先方から「それならどうしてその時に言わないんだ」と心証を害することも少なくありません。このあたり「伝える」をもっと大切にしたいですね。むこうも貪欲である分、こちらが貪欲になっても怒られることはありませんので。

まとめ

 インドでの交渉はとにかく貪欲VS貪欲から始まる。

あとはとにかくその場で自分の意志・譲れないラインを「伝える」ことが大切。

<プロフィール>

野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

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