インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。
インドの最新情報を現地の目線からお届けしています。
インドで毎年7月31日は個人の確定申告期日です。
そのため、私も毎年この時期は大忙しで動き回っているのですが、結局、期限直前の7月26日にこの期限は8月31日にまで1か月延長されました。期限が間に合うかどうかハラハラしていた私はホッとしたのが本音です。
▼目次
申告期限が毎年変わる?!
日本では確定申告期限が3月15日と定められていますが、大災害でも起きない限りこれが動くことはないのですが、インドではよく動きます。
昨年も確定申告は1週間、一昨年は1か月延びました。一昨年は法人税の申告期限まで2週間延びました。
どうしてこんなことが起きるのかというと、それは政府から発表される申告のフォームが遅かったり、新しい税制が導入された場合その処理に現場が忙殺されたりすることに考慮した処置となっています。
どちらかというとインドのこういう柔軟さが私は好きで、日本も新しい制度が導入された年などは少し見習ってみてもいいのでは?と思います。
駐在員を悩ますインドの確定申告事情
さて、そんなインドの確定申告ですが、現地日本人の間では頭の痛い問題があります。
それは「海外資産の申告」です。インドに3年以上住む外国人はすべての海外資産を確定申告において開示する必要があり、その範囲が年々広がっているからです。
もちろん海外に資産を持っているからといって、必ず課税されるわけではないのですが、物価水準の異なるインドの税務当局から見たら、日本人が持っている普通の不動産もものすごい資産に見えるのは確かです。
「こいつものすごい資産持ってる」と思われて痛くもない腹を探られるのでは?という疑念も相まって、いつもこの海外資産の申告については慎重にお客さんを説得して記載してもらっています。
インド税務当局のこの傾向は今後強まることはあっても弱まることはなさそうなので、インドに駐在する人は事前にこういう義務があることをちゃんと理解して置く必要があると言えます。
この制度の存在を後で知って会社との間でトラブルになるケースも散見されますので注意が必要です。
まとめ
・2018年3月期の個人確定申告も1か月の延期が決定。インドではこの手の決定は日常茶飯事。
・海外資産の開示が義務付けられているので日本人駐在員は要注意。
【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士
大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。
事務所HP:http://in.nacglobal.net/