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源泉税に新たなコンプライアンスが 管理部の負担増は必至

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源泉税のコンプライアンス対応がもっと煩雑に

インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。

インドの源泉税が非常に複雑であるのは良く知られていますが、その源泉税に7月1日より新たなコンプライアンスが加わりました。現地はその事務対応で混乱しています。

税率の種類が少ない日本の源泉税と異なり、インドはその業種や相手の事業体の規模などにより設定されている源泉税の税率が多岐に及んでおり、またその納税期限も翌月7日と非常にタイトであるため、税率の判断には正確性と迅速性が求められます。

そのため、ベンダーに対する支払いがある時は毎度専門家に確認することが必要となり、その事務負担が非常に重くなっているのが現状です。

そんな源泉税ですが、この7月1日より一つの制度が始まりました。

それはベンダーへの支払前に彼らに対して「過去2年の間に期日通りに税務申告をしているかどうか」を確認することが求められるようになったのです。そして、もしも相手が適正に税務申告をしていない場合には、徴収する源泉税を原則2倍にする必要があるようになりました。

日本と異なり適正に税務申告をする納税者が少ないインドでは政府は慢性的な税収不足に悩まされているため、そのようなコンプライアンス違反の納税者に対する支払い時には2倍もの源泉税をとることで税の捕捉率を高めようという政府の方針を反映したものとなります。

ただこの新制度、たしかにコンプライアンス意識の低い納税者からの税の徴収を行う…という意味では私も賛成なのですが、上記「過去2年の間に期日通りに税務申告をしているかどうか」についてベンダーへの確認作業が毎年必要となり、その証拠のためにベンダーから宣誓書を入手することも実務上求められてしまいます

ベンダーの数が少ない零細企業なら良いですが、多くの企業と取引がある大企業の場合、その作成と依頼・回収の手間は非常に膨大になります。また担当者が頻繁に変わるインドの事情を考えると、依頼を出したとしても適正に宣誓書を回収できない可能性も十分あるでしょう。またそもそもこの宣誓書を「出したくない」と言い出すベンダーが出てくることも予測されます。また相手がベンダーである以上、このような依頼を投げることをまず自社の購買担当にも連絡しておく必要があるでしょう。こういった数々の手間暇が経理担当者に課せられるようになったのです。

当然現場でも戸惑いの声が多く、弊社のような会計事務所に宣誓書フォーマットの作成依頼、場合によってはベンダーへの説明文書の作成の依頼などがありました。「徴税率を上げるため」という大義名分はあるものの、上記のように管理部の負担を増やすことには間違いないため、日系の現地法人においても担当者の選別含め慎重な対応が必要になります。

まとめ

・複雑なインドの源泉税において新たなコンプライアンス強化
・取引先となるベンダーから事前に書面によるコンプライアンス遵守状況を確認する必要有り

 【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士 

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。 

事務所HP:http://in.nacglobal.net/ 

 

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