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カレーの本場に殴り込み?ココイチにインドでの勝算は?

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画像:Photo AC

インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。

7月8日、以前より噂されていたカレーの「CoCo壱番屋」、通称「ココイチ」のインド進出が発表されました。三井物産とのJVになりますが、あのカレーの本場インドに日本式カレーが逆上陸する形になるので、ココイチファンの私としては非常に楽しみなところです。

さてここで気になるのはこの「カレー発祥の地インドでココイチに勝算はあるのか?」という点です。今日はそんなインドの「カレー事情」について考えてみましょう。

私たちがイメージする「カレー」は「カレー」ではない?

「カレー発祥の地」がインドであることに異論がある人はいないと思いますが、現地インドのカレーは私たちがイメージするカレーとはだいぶ違います。日本在住のインド人が日本のカレーを食べても「これはカレーではない」と言う人がほとんどです。日本のカレーは基本的に味が一種類しかなく、そして辛いというより「しょっぱい」のです。

一方のインドのカレーは、実に多種多様。黄色いものから赤、オレンジ、緑など様々な香り、味、色のカレーがあり、その具材も野菜、豆、イモ類、鶏肉、さらには山羊肉、羊肉、エビや魚のカレーもあります。その味も日本の「しょっぱい」味ではなく、まさにスパイスの「辛い」がメインです。
「これはカレーではない」…とインド人が日本カレーを評する原因はここにあるのです。

また彼らはカレーをご飯と一緒に食べるということをあまりしません。稲作が盛んなインドの東部であればお米がメインですがそれ以外の地域では基本的にはチャパティをいう固めの薄いパンと食べます。日本のインド料理屋で出てくる「ナン」もありますが「ナン」は高級なので、パーティの席などで出てくることが多いのです。

そう考えると「カレーのココイチ」がインドに進出したとはいえ、それは「カレー」としての参入ではなく「全く別の新しい食べ物」としての参入になることが予想されるのです。

ココイチカレーに予想される課題

では「全く新しい食べ物」としてインドに参入したとして、ココイチカレーにはどのようなクリアするべき課題があるでしょうか。考えられる点を書いてみました。

①食の禁忌の違い

まず、ご存じのようにヒンドゥー教徒のインド人は宗教上の理由から牛肉を食べません。またヒンドゥー教につぐ勢力を誇るイスラム教徒は豚肉を食べません。さらに豚肉に関しては宗教上の問題がないはずのヒンドゥー教のインド人からも忌避されています。そもそも「食べる習慣がない」のです。またヒンドゥー教徒の大半と、ジャイナ教徒の人は基本的にベジタリアンです。

そうなると「具」として牛肉や豚肉を入れることはもちろん、ルーに含まれている豚脂や牛脂を入れることも難しく、そうなるとココイチのあの美味しいルーの味が大きく変わってしまう可能性があります。

②味覚の違い

先述のようにインド人はスパイス由来の「辛い」食べ物が大好きです。インド人の口に合うようにココイチのルーの味を「しょっぱい」から「辛い」に比重を変える必要があるでしょう。そうなるとインド人好みの多種多様なスパイスの研究も必要になるでしょう。

③価格の違い

これが一番大きな問題です。物価の問題もありますが、インドは基本的にものすごく「外食の価格」が安いのです。

極端な話、町のカレー屋さんでランチセットを頼んだとしてその値段は100ルピー程度。日本円で約160円です。私はココイチに行くといろんなトッピングやサラダを頼むのでいつも予算は1500円です。そのまま攻めると競合相手と比べ10倍くらい高い商品を引っ提げて戦う必要があるのです。

もちろん、中国のココイチがそうであるようにインドでもココイチを「高級レストラン」として売り込むことが予想はされるのですが、他の日系企業が苦戦している原因である「インド人の財布のひもの堅さ」を乗り越え、彼らの需要をどう喚起するのかが課題となることは間違いないでしょう。

とはいうものの、一ココイチファンの私としては今回の進出は諸手を上げて大歓迎。①②③の課題をクリアして、日本のカレーという新しい料理でインド外食市場を席捲してほしいものです。

まとめ

・ココイチがカレーの本場インドに進出
・日本のカレーとインドのカレーは全く別の料理
・味のローカライズと、価格設定が鍵

【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

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