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【2025年1月の米国新政権発足に備える】そなえよつねに

投稿日:

海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。

 

2025年からの4年間はトランプ氏が大統領として米国のトップに立つことが決まりました。
2期目は何するの? と世界から注目される中、やはりやったか! まさかこんなことを! という場面にいろいろ遭遇しそうです。今後多くの情報が飛び交うでしょうが、事業者としてこういう準備はしておく必要がある、ということを考えてみましょう。

 

 

この人は普段どういう言動をしているか

出典:合同会社トロ資料

 

1.自国第一

大統領選挙活動を通じて、アメリカファースト! と言ってきました。なるべく自国の金を使わずに軍事面、経済面の優位性を保つ行動をすることでしょう。特に中国に対しては経済安全保障という観点から、締め付けの強化が予想できます。

具体的には、米国の輸出管理規則(通称EAR)の運用の徹底があげられます。日本で活動しているのになぜ米国の法令に従わなければいけないの? という疑問もありましょうが、米国原産の貨物(部材を含む)や技術(ソフトウェア等)、およびEAR対象品が一定基準以上含まれた貨物やソフトウェアの再輸出(日本から第三国への輸出)において、米国当局からの事前許可取得が必要となるということです。

「安全保障貿易管理」早わかりガイド(17ページ以降)ジェトロ編 https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/security_trade_control/pdf/guide/202401_v2.pdf

日本から、中国やその他懸念国向けに貨物を輸出あるいは技術(情報)を提供する場合は、日本の安全保障貿易管理を遵守するだけでなく、米国輸出管理規制にも留意する必要があります。

 

2.中国製でなく日本製であることの証明書(一般原産地証明書)

米国への輸入に際して中国製貨物に罰則的高関税が課せられる可能性もあります。そうした場合、日本製であることを証明するために「一般原産地証明書」(次項のFTA/EPA原産地証明書とは違うものです)の発行を米国の取引相手から求められるかもしれません。

原産地証明について(大阪商工会議所編) https://www.osaka.cci.or.jp/trade/issuance_overview/origin.html

一般原産地証明書の手続き方法(東京商工会議所編)
https://www.tokyo-cci.or.jp/shomei/preparation/country_of_origin/column/

 

尚、輸入品の関税は通常CIF価格(輸入国までの貨物代金および輸送費と貨物保険料込み)に課せられますが、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドではFOB価格(輸出国で船積みするまでの貨物代金。したがい、輸送費や貨物保険料は含まれない)に課せられます。

 

3.米国の関税が引き上げられると(風が吹くと桶屋が・・・)

米国の関税が引き上げられる → 引き上げられた関税相当の物価が上がる → 物価が上がると金利が上昇する → 金利が上昇すると米ドルが高くなる → 米ドルが高くなると円が安くなる → 円が安くなると日本への輸入価格が上がる(下がらない)。

風が吹けば桶屋が儲かる ではありませんが、米国の関税が引き上げられることで円安基調が今後も続くことが予想できます。そうすると打撃を受けるのが、輸入に従事する事業者です。消費者への価格転嫁も非常に厳しい状況です。いかにして輸入コストを引き下げればよいでしょうか?

輸入価格を下げる方法の1つに、FTA/EPAの利用・活用があげられます。貨物の輸入関税がそもそも無税でない限り、FTA/EPAによる原産地証明書を輸出業者から提供してもらうことで日本輸入関税を減免することができます。例えば男子用綿ジャケットの関税率はCIFに対して9.1%あるいは12.8%ですが、もしイタリアやフランス製ならば日EUのFTA/EPAに基づく原産地証明書を利用することで日本輸入時の関税を無税にすることができます。輸入額CIFが1,000万円とすると、関税91万円あるいは128万円をゼロにすることができる、ということです。

全ての輸入貨物がこのように計算できるわけではありませんが、円安基調の中で輸入コストを少しでも下げるためにはFTA/EPAを進んで利用することが大切です。

 

日本への輸入時に必要な原産地証明書は輸出者側で準備してもらいます。外国の供給業者がそのような事務処理能力を持っているか、過去に事故を起こしたことがあるか、ということも定期的に調べます。

 

2024年3月ブログ記事「FTA/EPAで貿易額を伸ばしたい、でも安全保障貿易管理とか経済安全保障が気になる」 https://blog.conocer.jp/haga-overseas-sales48/

 

まとめ

トランプ政権第2期が発足すると、米国の輸出管理規制(EAR)にも留意した輸出業務が更に重要になります。米国の輸入関税を引き上げると円安基調が続き、日本への輸入品コストが上がります。輸入コストを引き下げる方法の1つにFTA/EPAの活用があります。海外の取引業者がきちんとした事務処理ができるかどうか、過去に事故を起こしていないかという調査を定期的に行います。

 

【プロフィール】

合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)

 

大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングや研修サービスを、民間企業およびジェトロや大阪商工会議所などの公的支援機関向けに提供している。これら機関向けセミナー実績も多数有する。

メール:info@toro-llc.co.jp

URL:https://sub.toro-llc.co.jp

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