現状では残留の可能性が高いと見られていますが、国民の選択が注目されるところです。
欧州リスク連載第3回にあたる今回は、英国の今後を探ってみましょう。
▼目次
今こそ英国外交の底力が発揮されるとき
巧みで老練な外交術と、影響力
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2015年3月のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創立メンバー加盟申請です。
結果、それまで態度を決めかねていた各国はいっせいに追随します。最終的に関係国のうち日米以外のすべての国々が加盟することになりました。
建前と本音を使い分ける英国外交の本質と、世界への影響力を改めて示したと言うところでしょう。
得意の外交でEU相手にどう立ち回るのか
2015年5月7日には総選挙が行われ、予想に反して保守党が過半数を占めました。そして保守党の公約に従い、EUに残留するか離脱するかについて国民投票が行われることになりました。
この問題に対する各党の考え方を整理すると、労働党はじめ野党は軒並みEU残留を支持し、保守党のみが離脱を主張しています。
ただキャメロン首相(保守党)の本音はEU残留にあると言われています。首相は今後国民投票が実施されるまでの期間で、EU残留を条件に、EU側から最大限の優遇措置を引き出すための交渉を行うと見られています。
現状では残留が多数派を占めるとされていますが、はたして国民投票はどのような結果となるのでしょうか。
また英国は得意の外交で、EU相手にどのような交渉を進め、有利な条件を引き出すのでしょうか。
英国のEU残留・離脱のメリットとデメリット
EU離脱といえば、ギリシャに関してしばしば言及されてきました。この場合は、債務削減を課せられたことで、国民の不満が高まったことが原因です。
⇒国民感情として「栄光ある孤立」に傾斜しがち。
…といった点が挙げられます。
欧州の金融センター、シティ・オブ・ロンドン
欧州の金融センターとして繁栄するシティ・オブ・ロンドンには、欧州単一市場の恩恵を受けるため約250の外資系金融機関が業務を集約させています。
EU離脱の場合、シティの凋落は必至といえます。英国の損失は甚大となるでしょう。
他にも、貿易面でEUの構成国として多大なメリットを受けている事実は無視できません。
おわりに
ただ国民投票では個々人の利益が優先されることから、必ずしも国益を反映しない点には要注意です。
●コラム筆者プロフィール●
名前:テムジン
リスクマネジメント界のチンギス・ハンです。
一言:迷える子羊たちに、世界各国のカントリーリスクを 分かりやすく説明します。 |