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為替介入が原因でスイスフランが急変動した理由は?スイスフランの特徴

      2016/03/01

6739-008-1世界の金融市場が大混乱に陥った「スイスフランショック」をご存知でしょうか。
2015年1月15日、スイス国立銀行が突如として対フラン為替への介入廃止を発表しました。その結果、1ユーロ=1.2スイスフランを上限としていたレートが、一気に1ユーロ=0.8052フランまで急騰し、変動に対処できなかった多くの投資家が不利益を被ってしまったのです。

しかしそもそも、なぜスイス国立銀行が突如介入を止めたのか、またなぜ多数の投資家たちが事態を予測できなかったのでしょうか。

今回は、スイスフランの特徴と、スイスフランショック発生の背景などをご紹介します。

スイスフランの特徴

まずは、スイスフランの通貨としての特徴をご説明します。

【1】低金利

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スイスフランは、日本円と同じく非常に低金利です。

そのため、低金利の通貨を借入れ、高金利の通貨で運用する「キャリートレード」に用いられます。

 

 

 

 

 

【2】「避難通貨」である

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「永久中立国」を宣言するスイスは、冷戦の時代においても、西側・東側のどちらの勢力にも属しませんでした。そのため、資本の避難先として信頼性が確立されており、東西対立の風潮が高まった際には、スイスフランへと資金が流れ込む傾向があります。

 

 

 

【3】富裕層の資産が集中

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スイスは小国のため、国内総生産(GDP)の経済規模はさほどではありません。しかし、上記で挙げた「資金の避難先」としての安全性が広く知られた結果、世界の富裕層の資産がスイスに集まるようになりました。また、富裕層を対象とし、顧客との信頼関係を構築して資産を守る「プライベートバンキング」と呼ばれる仕組みも確立されています。

 

 

 

ご紹介した各ポイントを総合すると、スイスフランの特徴は、ひとえに「安全性」にあると言えます。ただし、このような安全性は、2011年の欧州債務危機を受け実施されていた、スイス政府による巨額の為替介入によって支えられていたのです。

 

為替介入とは

為替介入とは、政府が資金を投じて自国の通貨を売買し、為替市場を操作することを指します。

政府による為替への介入は、市中銀行の為替ディーラーなどを通じ秘密裡に行われます。ただし、為替操作が始まるとレートが急激に変動するため、投資家たちも「介入が行われた」と察知すること自体は可能です。また、介入を行う際は、事前に政府が要人の発言などを通し、市場にシグナルを出す場合もあります。

実はスイスフランショックの場合も、上限撤廃が発表されるほんの数日前に、この「介入のシグナル」とも受け取れる情報がメディアに流れていました。具体的には、スイス国立銀行(中銀、SNB)のダンティーヌ副総裁が、テレビ番組のインタビューにおいて、「1ヶ月弱前にあらゆる角度から状況を再評価したが、スイスフランの上限は今後も金融政策の基礎であるべきと確信している」と発言していたのです。

 

スイス中銀は一枚上手だった?

今回の対ユーロ上限撤廃措置については、国際通貨基金(IMF)にすら事前の通告がなかったほどの急な決定だったと言われ、「SNBは中央銀行としての信頼を損なった」との声も聞かれます。

ただし、この上限撤廃の背景には近年の急激なユーロ安傾向に対するSNBの懸念があり、不当な決定であったとは言いきれません。1ユーロ=1.2スイスフランの均衡を維持するための資金投入について、自国の通貨高が進む現状を鑑み、続行することは不可能であると判断せざるを得なかったのです。

もしもSNB副総裁による上記のような発言がなければ、「1.2スイスフラン固定」を信じて損害を被る投資家の数は、遥かに減少していたかもしれません。ジョルダンSNB総裁は、「このような金融政策の解除を決定した際には、市場の不意を突く必要がある」と話しており、ダンティーヌ副総裁の事前発言も含め、確信犯的に計画を立てていたことを示唆しました。いわゆる「安定通貨」の取引においても、絶対的な安全性は保障されないことを示す良い例であると言えるでしょう。

 

おわりに

スイスフランの特徴や、スイスフランショック発生の背景についてご紹介しました。

外貨取引を行う際は、常にリスクが付きまとっていることを理解した上で、あらゆるトラブルへの対策を練らなければいけません。確実な利益のみに気をとられ、大きな損失を被ることのないよう、十分に注意してください。

 

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