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【3分解説】2018年度インド予算案の注目ポイント

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インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。
インドの最新情報を現地の目線からお届けしています。

今月、2018年のインド予算案が発表されました。

毎年2月に発表され、インドの1年間の各政策に大きな影響を及ぼすものであるため注目を浴びましたが、今年は昨年同様大きな動きがなく、世間では少し落胆ムードです。

堅調な成長を見せるインド経済を、さらに一段高く引き上げる目玉政策があるかと期待されていただけに少々残念です。

そんな、2018年インド予算案の概要を少し抑えておきましょう。

▼目次

農業保護政策の推進

いまだに第一次産業が多数を占めるインドは、農家に対する優遇政策を伝統的に採用し続けています。

今回も農家が生産コストの1.5倍で売り出せる価格保証制度を打ち出しました。

もちろん、それだけでは消費者物価が上がってしまうので、非常に非効率と言われる農作物の流通経路の合理化なども打ち出しています。

貧困層への保護政策の推進

こちらもインドの伝統的政策です。

経済成長しているとはいえ、貧富の差がいまだに激しいインドという国ゆえに、政府は選挙対策の意味もあり、伝統的に貧困層への保護政策を打ち出しています。

今回は5億人ともいわれる貧困層に対して健康保険制度(National Health Protection Scheme‐NHPスキーム)を提供すると打ち出していますが、財源や既存の制度との補完性から実現はまだ不透明です。

 >インド政府のWebサイト「National Health Portal of India」はこちら

税制改正

税制に関して大きな変化はありませんでしたが、細かな改正はいくつかありましたので以下列挙します。

「教育目的税3%」が「健康・教育目的税4%」へ

インドには日本の「復興税」のように税額にさらにチャージされる付加税があるのですが、その税額が3%から4%に増えました。

これはあらゆる場面で徴収される税であるため、税率の上昇は小さいですが年額になると無視できない金額になると思われます。

小規模企業に対する法人税負担の緩和

日本と同様インドでも、小規模企業の法人税率は「25%(通常は30%)」と低く抑えられていたのですが、この小規模企業の定義が拡大されました。

従来は売上規模が5億ルピー以下の会社だったのですが、これが25億ルピーに拡大されました。

長期保有株式の売却益に対する課税

従来、インドでは長期保有の上場株の売却は課税されていなかったのですが、これが10%の税率で課税されることになりました。

メイク・イン・インディアへの布石

数年前よりインドは「メイク・イン・インディア」のスローガンのもと、製造拠点をインドに置くことを目標としており、その動きの一環として各製造業の部品、中間財に関する関税が引き上げられることになりました。

ただ、中にはインド国内で調達不可能なものもあり、日系の製造現地法人への影響が懸念されます。

まとめ

2018年予算案を見る限り政策面について、大きな変動はなし。
税制改正では、いくつか関税の引き上げが決まっており、現地製造業への影響が懸念される。

 

【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

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