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インド電子決済の最新事情

      2018/05/08

インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。
インドの最新情報を現地の目線からお届けしています。

本日は、仮想通貨やFintechの流れで注目されるインドの電子決済事情についてお届けします。

日本より進んでいる?インドの電子決済事情

1年程前のインドの高額紙幣使用禁止騒動はまた記憶に新しいですが、そもそもどうしてあのような驚くべき政策を政府がとったかと言うとそれは「脱税により不正にため込まれたお金のあぶり出し」です。

インドでは、正しく納税している人は全人口の3%程度と言われているほど納税意識が低く、皆現金決済で所得をごまかそうとする傾向があります。

時には、当初1,000ルピーと言われた商品をカードで買おうとすると、「カードで買うなら1400ルピーだ」と言われることもあります。

さて、そんな高額紙幣使用禁止の処置ですが、当初このショック療法はインド経済に深刻な打撃を与えると言われていましたが、実際は3か月もすれば町は平穏を取り戻しました。

なぜか。

その原因は電子決済への移行がスムーズに進んだからと言われています。

スマホ決済アプリ「Paytm(ペイティーエム)」の普及

もともとある程度普及していたクレジットカードやデビットカードに加え、スマホによる決済アプリの「Paytm」などの普及により、町の屋台などでもキャッシュレスで買い物をする風景が見られるようになりました。
高齢者の多い日本と異なり、若い世代が多いインドでは、電子決済への移行がスムーズに進んだと見て良いでしょう。

また買い物だけではなくて、個人間のお金のやり取りもスマホで相手の携帯番号を入力するだけで送金が可能になっています。

そもそも、申込に長い時間と手続きがかかるうえに、実際の送金手続きも何重にもセキュリティがかかって面倒な日本の電子決済や送金と異なり、非常に簡単な手続きです。

買い物に行く子どものスマホに、親が自分のスマホから必要な金額だけお金を「ハイッ!」とチャージする姿は、日本より進んだ電子決済先進国だと感じます。

このPaytmはデリー近郊に拠点を置く会社「One97 Communication」が提供しているサービスです。非上場企業なので実態はよく掴めませんが、2010年設立後、急成長していることは間違いなく、さらに筆頭株主はあのアリババ(Alibaba)だと言われています。
このあたりも電子取引で世界標準を目指す中国企業の狙いを感じます。

>インドのスマホ決済アプリ「Paytm(ペイティーエム)」はコチラ

政府が後押しする電子決済

インド政府も徴税率を高めるために、この電子取引化、電子決済化を奨励しており、売上に占める電子決済(つまり現金や小切手を使わない)の割合が高い業者には監査などのコンプラ義務を軽くしたり、税制上の優遇措置を与えるなどの措置をとったりしており、この傾向は今後も続くと考えられます。

インドの小売業者の中には、売上が透明になってしまう電子決済に抵抗する傾向はまだまだ強いのですが、消費者側が便利な電子決済を使用したがっている以上、この流れは止まらないと考えられます。
今後もインドの電子決済事情から目を離せません

まとめ

高額紙幣騒動以来、電子決済の割合が急速に伸びている。
良くも悪くも簡単に買い物や送金がスマホさえあればできるので非常に便利。若者を中心に利用者が急激に増えている。

【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

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