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日本企業の直面するトラブル⑨インド人のプロジェクトマネジメント(公認会計士 野瀬大樹)

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今回はインドで仕事をする方なら誰もが「あるある」と思う、いや痛感している日本人とインド人の仕事の進め方の違いです。
私はもうインドで6年仕事をしていますが、この文化の違いにはいつも悩まされます。

▼目次

「1週間でできます!」は要注意

インド人と仕事をしていると、こちらから「この仕事はどれくらいでできる?」と聞くと「1日」「1週間」など非常に威勢のいい返事が返ってくるのですが、本当にその期間内で仕事が終わることはほとんどありません。もちろん私からは「どうして終わらないの?」と苦情を言うのですが、
・書類が届いていない
・役所/銀行が動かない
・ウェブサイトが落ちていた
などなど、様々な理由を述べて「終わってないが俺の責任ではない」と結論づけます。

どうしてインド人は「できない約束」をするのか?

何度も痛い目にあっているので、スタッフや社外の専門家に聞くのですが、インド人がこのように「できない約束」を軽々しくするのは文化の違いだという結論に至りました

日本人が仕事にかかる時間を聞かれたら
・役所など他の登場人物がかかる時間も予測し
・そのうえで、予想される最も長い期間
を伝えると思うのですが、インド人の場合は

・プロジェクトの自分のパートのみの時間
・そのうえでさらに、予想されるもっとも短い時間
を伝えるのです。

例えるなら、100メートル×4のリレー選手に「あなたはこの競技を何秒で走れますか?」と聞いた場合、日本人なら「10秒×4で40秒が過去のベストだけど、3年前だから今はもう少し遅いかな。特に一人は足を怪我しているから48秒くらいだろうか」と答えるところ、インド人なら「俺は過去に区間10秒で走ったけど、もう少し頑張れば8秒くらいで走れるはずだ」と8秒を申告するイメージでしょうか。

これはどちらが悪いというよりはもはや文化の問題なので、インド人の時間感覚をしっかり認識したうえでプロジェクトマネジメントしたいですね。これはインドに限らず、他のアジア諸国でも同様なので注意が必要です。

インド人を管理するには?

インド人と一緒にプロジェクトを進める際に必要なのは、非常に泥臭いですがとにかく「確認」することです。毎日のように電話や時にはデスクをのぞいて「どう?」「終わりそう?」「問題ない?」と声をかけるのです。私も会計士なので本当は会計や税務の専門的な仕事をしたいのですが、組織の中ではこの「声掛け係」に徹している時間が一番長いように思います。

まとめ

 インドとの協業で気を付けたいのはその「時間感覚」。

予想される最大の時間を述べる日本人と計算できる最小の時間を述べるインド人はまさに真逆の存在。トラブルを避けるためにこまめなコミュニケーションが必要。

■プロフィール

野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

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