少し前になりますが、昨年から今年にかけての年末年始は、4年ぶりに日本での年越しでした。主な理由は12月29日に日本で仕事が入ったからなのですが、もう一つの理由は大気汚染です。実は中国よりもずっとひどいとされているインドの大気汚染について触れたいと思います。
▼目次
朝起きれば家の中も曇っている???
インドの大気汚染がどれくらいひどいかといいますと、まず本当にひどい日は50メートルほど先のビルが全く見えず、朝起きて寝室からリビングに移動するとほんのりリビングにも白い靄がかかっているくらいです。もちろん、インドの家は日本の家と比べて気密性が低いのも原因ですが、それにしても深い霧がかかったような状態になります。
そうなると、のどはイガイガしますし鼻水も止まりません。大人の私でもそうなので子どもにはもっと影響があります。そのため日本人駐在員の方の中には、大気汚染がひどい12月と1月だけ、奥様とお子さんを日本に避難させる方が多いのも事実です。
どうしてこんなに大気汚染がひどいのか
主な原因はもちろん急速な経済成長による工場からの煙や自動車の排気ガス、火力発電所なのですが、それ以外にもインド独特の理由があります。例えば貧困層の人たちが暖をとるために行うたき火、古いレンガ造りの建物を近代的な建物に立て直すための取り壊しのホコリなどです。
政府もそのあたりはよく理解していて、大気汚染が特にひどかった今年は政府からの命令で火力発電が稼働を少し控えたり、取り壊しの際の水まきの徹底が指示されました。日本と協定を結んで原子力発電所を増やそうとしているのもこの大気汚染が大きな原因です。
大気汚染の今後
さてそんなインドの大気汚染が今後はどうなるかなのですが、私の考えではまだまだ収まらないと思います。それは経済成長もそうですが、インド人の気質にもよります。
昔、インド人の友達が運転する車の助手席に乗っていた時の話なのですが、話の中で彼が
「俺は今はこんな車(CNG社)に乗ってるけど、いつかはビジネスで成功してガソリン車に乗るよ!」
と言っていたのです。
日本人の感覚だと、CNG社のほうがエコでコスパも良いような気がするのですが、彼に言わせるとガソリン車のほうがお金持ちっぽくて良いとこのと。「消費は美徳」という文化がまだ残っているように感じます。こういった文化は何事も派手好きで見栄っ張りな国民性から来るものなので「エコ」が定着するまではまだまだ時間がかかりそうですね。
まとめ
インドの大気汚染はもはや中国を超えて世界最悪レベル。
経済成長も大きな原因だが、たき火や国民気質などインド独特の理由にもよるので、なかなか改善には時間がかかると考えらえる。
プロフィール
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士
大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。
事務所HP:http://in.nacglobal.net/