▼目次
はじめに
支払時期・方法をどうするか?取引金額のみならず,支払条件も,重要な事項です。今回は,支払時期・方法等に関する条項のチェックの際に気を付けていただきたい点を見ていきたいと思います。
チェックポイント
・支払時期
支払時期については色々な決め方がありますが,具体的場合において,十分な特定がなされているか,よく読みなおすことが必要です。
例えば,「●年●月●日までに支払う」と取り決めた場合,一般的には,これで特定は十分と考えられるでしょう。
ただ,どうしても支払期日を厳守してもらいたい事情があるなどの理由から,「『日本時間における』●年●月●日までに支払う」といったような,さらなる特定をする必要がないか,実際に支払いを受ける段階をシュミレーションし,検討しておくことが大切です。
・支払方法
信用状,D/P,D/A,銀行口座への振込等が考えられます。取引内容や,相手の与信状況等,個別の事情にあった方法を選択しましょう。
なお,支払い方法については,当ブログ内の他の記事にて解説がありますので,ご参照ください。
信用状取引については,こちら(https://blog.conocer.jp/lc-0818/)
その他の決済条件については,こちら(https://blog.conocer.jp/payment-5min/)
・支払通貨
どこの国の通貨で支払うかについて,必ず決めておきましょう。
また,対価は円で定められているが,支払いはドルで行うこととする場合等,支払の際,通貨を換える必要があるケースでは,いつ,どこで発表された,どのような為替レートを使うのか,忘れずに取り決めておきましょう。
さらに,長期の継続的契約の場合等,将来,為替が大きく変動した場合の不都合を考慮する必要がある場合には,そうした場合の対処方法についても記載できるとなお良いと考えられます。
例えば,「●円以上変動したときは,……という方法で計算し,増減額した金額を請求することとする。」等と,具体的な計算式を記載することも考えられますし,「本契約締結後,為替が著しく変動し,前項のレートを引き続き使用することが甲乙間の公平を害する場合には,甲及び乙は,本契約の対価又はその計算方法につき,誠実に協議し,決定するものとする。」といったように,協議をすることを課する条項を記載することも考えられます。
☆契約書英語レッスン☆
今月は,契約書においてよく使われる英熟語をご紹介します。下記の英熟語の意味を,すらすらと答えられますか?
・in the event that~
⇒…の場合には
・in accordance with~
⇒…に従って
・with regard to~
⇒…に関して
・to the extent~
⇒…の範囲で
・be entitled to~
⇒…する権利を有する
・on behalf of~
⇒…を代理して
・be liable to/for~
⇒…について責任を負う
<プロフィール>
弁護士法人堂島法律事務所(東京事務所) 弁護士 瀧澤 渚氏
慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2014年弁護士登録。外資法律事務所勤務の後、2016年より堂島法律事務所所属。企業法務・労務を中心に、英米法等の海外法務にも精通。