リスクを構成する要因と、その背景をそれぞれ解説します。
<シリーズ記事まとめ>
中国企業との取引前に読んでおきたい!チャイナリスク連載6記事まとめ
▼目次
はじめに:虎穴に入らずんば虎子を得ず
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とは、リスク・リターンの本質を言い当てた有名な中国の故事です。リスクを取らなければリターンを得られないことは、昔から認識されてきた教訓と言えるでしょう。
海外取引の3つのリスク【カントリーリスク、信用リスク、市場リスク】
そもそも、海外取引を行う上で私たちが直面するリスクはカントリーリスク、信用リスク、市場リスクに3分類できます。
カントリーリスク
まず、カントリーリスクとは、ある国の政治、経済、社会などが有するリスクです。その国への投資や取引を始める場合最初に見積もらなければならないリスクと言えるでしょう。
信用リスク
そして、信用リスクとは、債務者が債権を履行できなくなるリスクのことで、デフォルトリスクとも言われます。私たちは取引に当たり、取引先の破綻や支払遅延などの可能性についてリスク評価をすることが欠かせません。
市場リスク
さらに、市場リスクとは、株式・債券・為替などの市場の価格変動リスクです。市場の動きにより元本や利息の評価額が変動することを意味します。
ひとつの目安に過ぎませんが、例えば株価であれば50%程度、為替でも20~30%程度の変動リスクを織り込むことも必要でしょう。
2016年度版【世界の10大リスク】にも中国がランクイン
現在、世界には約200の国・地域があり、それぞれにカントリーリスクが存在します。
チャイナリスクが世界から注視される2つの理由
チャイナリスクが特にリスク度が高い理由として、
①国の規模が大きく、世界に与える影響が大きい
②情報が不透明でリスクの所在が見えない
の2点が挙げられます。
①国の規模が大きく、世界に与える影響が大きい―「世界の工場」といわれる国家規模、中国経済に依存する新興国群
五千年の歴史を有する中国は、国内に漢民族の他50以上の少数民族が混在し、人口も13億7千万人と世界で最大となっています。
そして「世界の工場」と言われるように世界各国から設備投資などの資金が流入しており、貿易取引高は世界で第1位、そして国民総所得(GDP)は日本を抜き米国に次いで世界第2位となっています。
チャイナリスクが顕在化した場合、その影響はさまざまな波及経路をたどって、中国経済に依存する新興国群をはじめ、世界を巻き込むことになります。
②情報が不透明でリスクの所在が見えない
さらに中国のカントリーリスク検討を難しくしているのは、政府などが発表するさまざまな経済指標の信頼感が欠けていることです。
中国政府の高官ですら政策決定にあたり同様の悩みを持っていると言われています。このように中国は不透明な国であることを肝に銘じて、カントリーリスクの考察をせねばならないということでしょう。
おわりに
海外進出先では、アジアにおける貿易ハブとして依然存在感をもちながらも、リスクの全体像がつかみづらい中国。
その中国との海外取引を行う上で備えておきたい基礎知識として、中国の実情とチャイナリスクを皆様にしっかりと把握いただくため、これから全6回にわたりお話して行きたいと思います。
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すべてのリスクを未然に察知して防ぐことは非常に困難です。ただし、その兆候が見えた時に、適切に対応ができる「準備をしている会社」と「準備をしていない会社」が存在します。
その準備の最初の一歩は、情報の収集、整理、管理と共有です。
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