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米国:連邦営業秘密保護法制定における注意点(弁護士 瀧澤渚)

   

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2016年5月11日、米国において営業秘密保護法(Defend Trade Secrets Act、略称「DTSA」)が成立し、同日施行されました。

米国には、米国全体に適用がある法律(連邦法)と、各州内においてのみ適用がある法律(州法)があり、法体系が二層構造となっています。DTSAは連邦法であり、米国全体に適法がある法律です。これまで米国では、営業秘密の不正利用等についての民事上の責任追及(損害賠償請求等)は、各州法を用いてしか行うことができませんでした。しかし、今回の法律制定により、連邦レベルでも民事上の責任追及が可能となりましたので、今後米国内で営業秘密の不正使用があった場合に企業が使える手段が増えました。そういった点で、DTSAは、米国と取引のある企業にとって押さえておくべき法律です。

また、DTSAは、営業秘密の拡散の防止に必要な場合に、相手方の財産を差し押えることができるという制度を設けています。この差押えは特別な事情がある場合に限って認められるものとされていますが、今後米国で営業秘密の漏えいのおそれが生じた場合にとりうる手段の一つになりますので、「特別な事情」がどのような場合に認められるか等、当該制度の今後の運用についてはフォローが必要です。

なお、DTSAは、内部通報者保護の一環として、企業に対して新しい義務も課しました。DTSAは、法令違反調査・報告目的で行う弁護士に対する営業秘密の開示等、一定の場合に従業員が第三者に営業秘密を開示することを認めていますが、企業は、そういった従業員保護規定が法律上存在することを雇用契約書等の中で告知しなければならなくなりました。そして、この告知義務違反にはペナルティが設けられたので注意が必要です。というのも、DTSAは、故意及び悪意で営業秘密が不正利用された場合には、懲罰的損害賠償(通常の2倍の額までの賠償)や弁護士費用の賠償が受けられるものとしています。しかし、上記の通知を受けなかった従業員に対して企業が営業秘密の不正利用を理由に損害賠償請求をする場合には、そういった賠償を受けることができないとされました。当該義務は今後締結・更新される雇用契約に適用がありますので、米国子会社で従業員を雇っている企業は、雇用契約の見直しを検討する必要があるでしょう。

<プロフィール>

弁護士法人堂島法律事務所(東京事務所) 弁護士 瀧澤 渚氏

慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2014年弁護士登録。外資法律事務所勤務の後、2016年より堂島法律事務所所属。企業法務・労務を中心に、英米法等の海外法務にも精通。

<専門家の記事について>

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