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今年も始まったインドの大気汚染、「過去最悪」のうわさも

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筆者撮影

インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。

今年も10月末の「ディワリ」の到来とともにインド、特にニューデリーを中心にインドの大気汚染の季節がやってきました。

ディワリの時期は皆、爆竹や花火でお祭りを彩るため、町中が煙だらけになりますが、従来よりその煙が大気汚染の大きな原因の1つなっているので問題となっていました。

政府も対策を打っていないわけではなく、爆竹や花火をより煙が少ないと認められたものだけに限定したり、その使用時間を制限したりといくつかの対策は打っていました。ただ、1年で最大のお祭りを祝う時にわざわざ割高な政府公認の花火を買う人は少なく、結局例年通り町中で大量の煙がまき散らされました。

今年のニューデリーの大気汚染は、9月末くらいまでは「例年の半分以下」と言われるくらい状態が良かったのですが、結局はこのディワリを境にして、例年通り、いや連年以上の水準になってしまいました。

PM2.5による大気汚染のひどさを図る指標AQIは、日本だと70を超えると「屋内待機推奨」になるのですが、その数値が11月3日のデリーはなんと999。測定不能のような状態になっています。

特に小さなお子さんがいる日本人駐在員の方には大問題で、実際、大気汚染がひどい12月や1月は奥様とお子さんをまとめて日本に帰らせる方も少なくありません。

さすがにそんな状態では、従来あまりマスクをしなかったインド人もマスクをするようになり、家電量販店では空気清浄機を求めるインド人でごった返していました。

深刻な大気汚染がインド経済に与える影響

このニューデリーの大気汚染、一日たばこを2箱吸っているのと同じ影響を人体に及ぼすと言われていますが、問題は健康問題だけではありません。

ここまで大気汚染がひどくなると、人々は外出を控えることになり、小売りを中心に景気に無視できない影響を及ぼすことが懸念されているのです。

実際、汚染がひどかった11月2日・3日、ディワリ明け最初の週末はモールなども閑古鳥。10年ほど前だと皆大気汚染など気にせず外でクリケットしたり家族で買い物したりする人達が溢れていたのですが、経済成長し健康へ関心が高まった今のインドではこの大気汚染問題は景気に少なくない影響を及ぼすと予想されています。

自動車不況により元気がない今年のインド経済、年明けからは在庫が一巡して景気が戻ると言われているものの、この大気汚染が長引くようであればその景気回復への期待もスモッグ同様にかすんでしまいそうです。

政府はデリー周辺地域で走ってよい車のナンバーを、偶数だけの日、奇数だけの日と設定したり、工事現場では打ち水を徹底したりしているのですが、もう一つのこの大気汚染の大きな原因にはメスを入れられていません。
それが農家による「野焼き」です。

インドの農家は、収穫が終わった土地を野焼きすることで一気に雑草などを焼いてしまうのですが、実はこの「野焼き」がディワリの爆竹よりも大きな大気汚染の原因と言われています。であれば、この「野焼き」を法令により禁止すればよいのですが、まだまだ農業国であるインドにとって、農家は選挙における大票田。農家の機嫌を損ねるような政策は打ち出せないのが現状なのです。

民主主義ゆえに、とるべき政策が取れないインド政府、しかし高い支持率を維持している今のモディ政権にはこの問題において「国家100年の決断」が求められているのかもしれません。

まとめ

・11月以降のインド、ニューデリーの大気汚染は「史上最悪」になる畏れ
・大きな原因の一つが「野焼き」ある以上、政府もドラスティックな手が打てない

【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。

事務所HP:http://in.nacglobal.net/

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