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第2章③ 貿易決済条件(T/T、D/A、D/P、L/C)の特徴と留意点

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前回は、貿易における船積・荷揚げに関する留意点を説明しました。今回は、貿易与信管理の肝と言える決済条件について解説していきます。

前回の記事はこちら

 

▼目次

貿易取引における決済条件の重要性

貿易取引において、与信管理の観点から最も重要な実務が決済条件の決定です。決済条件と取引先の信用状態とは不可分の関係にあります。特に、現地に事務所等のない遠隔地の取引先との貿易取引では、限られた情報の中で取引をすることとなるため、決済条件による与信リスクの低減は最も重要な課題です。

貿易取引における決済条件は、双方の交渉により決定されるものであり、一方的な条件提示が通るとは限りませんが、営業政策的な観点を過度に優先させることは危険が大きく注意すべきです。下記は代表的な決済条件ですが、取引先の信用状態に応じて、適切な決済条件を選択することが貿易取引の成否を決するといっても過言ではありません。

  • T/T送金(前払い、後払い)
  • D/A
  • D/P、CAD
  • L/C(at sight, with usance)

※決済条件に関する過去記事(【5分で分かる】貿易取引の決済条件とは?決済条件の仕組みと種類)はコチラ

貿易決済条件の選択

決済条件の選択は、取引先がある程度信頼できるが、裸与信ができない状態のときはL/C条件にして、支払い保証を開設銀行から受けるのが一般的です。ただし、取引先の信用状態が非常に悪い場合には、開設銀行がL/Cの開設を拒否する場合もあるので、他の保全策も講じておく必要があります。

次に、取引先の信用状態が相応に信頼でき、且つ貨物の転売可能性が期待できる場合には、D/P決済に応じる余地もあります。万一、取引先が為替手形を決済できない場合には、当該貨物を引き取り、転売することでリスクを回避することが必要です。

T/T、D/A等のいわゆるオープン・ターム(Open Term)の決済条件は、取引先が十分な信用力を有している場合に限定すべきでしょう。

主な決済条件の注意点

1)T/T送金(後払い)、D/A

近年の傾向として、通信、送金、輸送の技術革新が進み、事務処理の簡素化、経費削減の要請から、貿易取引においてもT/T送金が決済条件として普及しつつありますが、貨物の受渡し後に代金回収する方法であることから与信リスクが大きく、相当の信用力のある取引先でない限り使用すべきではありません。この意味では、D/A決済も同様のリスクが伴います。取引先の信用リスク保全手段としては、貿易保険の付保が考えられますが、決済条件による信用リスクの大きさと取引先の信用状態との相関関係を十分検討したうえで、貿易保険の利用を考慮することが望まれます。

2)D/P、CAD

D/P(Documents Against Payment)、CAD(Cash Against Documents)は、船積み書類と引換えに支払いを受けるもので、D/Pでは船積み書類一式を銀行経由取立てに出し、代金支払いと同時に船積み書類を交付し、また、CADは船積み書類一式を現金と交換する決済手段です。
この決済手段では、船積み書類一式の交付が代金の受領をもって行われ、原則として売掛金回収リスクが発生しない決済手段です。

しかしながら、たとえば

  • D/P決済にもかかわらず、B/L1通直送条件が付されている
  • CAD決済にもかかわらず、遠隔地のため船積み書類の送付と送金のタイミングがマッチしない

などの本来、D/P、CAD決済とはいえないものがあります。
したがって、D/P決済においても、B/L1通を直送する場合には、D/Aと同様のリスクが存在することを認識のうえ、取引先の信用状態をチェックする必要があります。また、CADも厳格な適用としてのCAD by hand、CAD through bankと、B/Lが先に取引先の手にわたる条件であるCAD by post(mail)とは区別して管理し、後者はD/Aと同様のリスク管理をする必要があります。

3)L/C決済

L/C決済条件は、取引先の信用補完として、L/C開設銀行が輸出者に対し、L/Cで要求する書類(B/L等の船積み書類)と引換えに取引先に代わって支払うことを約束しているもので、貿易決済の最も代表的な手段です。しかし、近年の経済のボーダレス化あるいは通信、輸送手段のスピード化、多様化により、銀行を経由した決済事務処理と貨物の受渡しに関連が薄れつつあり、必ずしも従前のような確実性を期待できなくなっています。

そこで、取引先の与信力が十分でない場合、または、新興国に所在する取引先との取引においては、

  • L/C開設銀行の指定
  • L/Cの早期入手による記載事項の確認
  • 船積み書類の迅速な入手と内容不一致(discrepancy)の有無の早期確認

を励行する必要があります。

銀行の支払能力不足によりL/C決済に支障を来たす場合や、新興国の銀行の場合、外貨決済に支障を来たす場合があるので、開設銀行の吟味が必要です。場合によっては先進国銀行のconfirmation取付けにより、このリスクを回避しておく必要があります。

また、L/C決済はL/Cで記載されている事項がすべてであり、万一取引先との契約条件と異なる記載がある場合には、直ちに修正しておかないと契約通りの決済が受けられません。L/C記載通りの船積み書類を提出できないと内容不一致を主張され、開設銀行より支払い拒絶されるため、この内容不一致が生じないように船積み書類を作成することが重要です。修正箇所がある場合には、取引先と事前に打ち合わせ、L/Cが失効する前に修正することによりL/C決済の万全を記すことが肝要です。この意味でも、取引先が信頼に足る企業であることが必要であり、たとえL/C決済条件であっても取引先の信用状態のチェックが必要とする理由です。

次の記事はこちら→第2章(4)L/C決済におけるBL直送条件

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