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【現地法人における人材マネジメント コンプライアンス】不正行為防止のためには?

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海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。

日々の仕事に追われているとつい疎かになりがちな部下の管理。これをあなどると大変な目に遭うかもしれません。行き過ぎた管理は現地スタッフにとっても息が詰まりますが、必要十分な注意を払い、不正行為の予防に努めます。赴任地域別に、特に注意しなければならないコンプライアンス上のポイントをお伝えします。現地スタッフの上司として、コンプライアンス面も配慮した人材マネジメントを実行しましょう。

同業他社と接触したら犯罪行為と見なされる? 

 世界共通

独占禁止法、反トラスト法(米)

米国の反トラスト法では、同業他社と会食をすると談合行為と見なされ、捜査対象になる可能性があります。犯罪行為ということです。2014年と若干古いのですが、次のジェトロ記事が理解に役立ちます。不用意に同業他社スタッフと接触せぬよう、部下には指導しましょう。米国と同様に欧州でも独占禁止法には留意する必要があります。

https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07001711/07001711.pdf
参考:経済産業省(2019年)
https://www.meti.go.jp/policy/kyoso_seisaku/tyousahoukokusyo.pdf

贈賄禁止

公務員には当然賄賂厳禁ですが、民間レベルでも贈賄と見なされる行為は控えます。ASEANでも、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナムといった国々では、法令により民間レベルでも賄賂を禁じられています。ASEANには賄賂は当然という商習慣の国もあるので、現地スタッフには法令遵守の指導が必要です。

輸出管理(安全保障貿易管理)

海外子会社も含めた関連法令の理解と遵守について平成18年(2006年)に経済産業大臣名で書面が出されています。
https://www.meti.go.jp/policy/tsutatsutou/tuuti1/aa239.pdf

安全保障貿易管理の概要についてはブログ別記事をご参照ください。

ASEAN

残念なことですが、この地域で多いのが社内不正です。会社の金銭や物品を横領する、企業情報を外部に持ち出す、こういった話を頻繁に耳にします。採用時の就業規則説明で不正行為の防止(違反時の罰則)への理解を高め、事あるごとに不正防止への教育をしてゆきます。要は性悪説で臨むことです。

横領 

金銭の横領は、書類の改ざんなどによります。サインをする上司(日本人)に理解できない現地言語の場合は、電子データならば自動翻訳ソフトなどを使って内容を確認し、改ざんを防ぎます。取引先や支払先で金銭を巡る事故が発生していないか、信用調査を行うことも大切です。

物品の横領は、監視カメラの設置と運用からスタートします。単独犯での実施は少なく大抵の場合は仲間がいるので、担当業務の異動や外部業者の定期的見直しが必要です。

情報漏洩

個人情報に関しては、EU諸国で2016年に制定された「一般データ保護規則GDPR」(2018年5月発効)の影響を受け、世界各国で個人情報保護に関する意識が高まりつつあります。

GDPRに関する説明:https://www.jetro.go.jp/world/europe/eu/gdpr/

企業の営業情報(機密情報)や情報セキュリティに関する意識はまだまだ低く、社内情報を外部に持ち出す、インターネットで配布されている無料ソフトを会社のPCにダウンロードする、といった行為が当たり前に行われています。現地スタッフには折に触れて情報漏洩や情報セキュリティに関する教育や指導を(あきらめずに)行うことが求められます。

横領などへの対策(防止策)

前項で若干述べましたが、不正行為の機会を減らすことが重要です。特定人物に権限が集中している、社内のセキュリティ管理体制がお粗末なまま、内部統制がない、という状況が不正行為の再発につながります。

(1)管理を徹底する
(2)記録に残す
(3)対象物にアクセスさせない(触れさせない、持ち出させない、アクセスできる人物を制限し履歴を残す)

ということを実行し、社内外で健全な企業活動を行える土壌を作るのがマネジメントの仕事の1つです。

まとめ

外国では日本以上に法令遵守、コンプライアンスの意識を高く持って業務に臨みます。独占禁止法、贈賄行為、輸出管理といった社会的制裁の大きな違法行為を予防することは当然ですが、横領や情報漏洩といった不正行為を防止する上でも現地スタッフの教育・指導が重要です。

【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)

大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングサービスを、ジェトロや中小機構などの公的支援機関および民間企業向けに提供している。

URL: https://sub.toro-llc.co.jp/

 

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