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【在宅勤務でもできる海外市場調査】台湾から自社の競合製品がどのくらい輸出されているか?

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海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。

前回は、日本の貿易統計データを利用して、自社製品カテゴリーの貨物が日本からどの国や地域にいくらくらい輸出されているのか調べる方法をお伝えしました。

今回は、台湾の貿易統計データを利用した調べ方をお伝えします。世界のあちこちで台湾の品物が自社と競合する。そんな経験をお持ちの事業者さんには是非とも調べておきたい内容です。

貿易統計データを用いた競合製品の輸出実態調査の方法

https://portal.sw.nat.gov.tw/APGA/GA30E

こちらが台湾の貿易統計データ検索サイト(英語)です。

出典:台湾CPT(貿易統計データ検索サイト)

英語が不慣れな方のために、用語などを説明します。

  • Total exports:輸出、Total importsは輸入なので、Total exportsを選びます
  • Annual:年間(1-12月)、Monthlyは月別なので、どちらかを選びます
  • Period:年間を選んだら西暦年を、月別を選んだら西暦年と月を選びます
  • Commodity:Fill in the code(2/4/6/8/11-digits)を選びます。ボックスには貨物のHSコード6桁を記載します
  • Partner:全世界向けならばWorldを、国別ならばDetailedを選びます。特定国向けならばSelect country(area)を選びます
  • Measure:金額のUSD(米ドル)を選びます。貨物によりWeight(Metric Tonは容積トン、KGは実際の重量)を選びます。個数(Quantity)は台湾独自の11桁HSコードを記入する必要があるので、余裕ある方は台湾HSコード11桁を調べてください
  • 検索ボタン:下の方にあるSubmitです。Resetを選ぶとリセットされます

検索事例として、2019年に台湾からビールがどのくらい輸出されたかを調べてみます。ビールのHSコードは220300です。検索画面で、Total exports、Annual、2019、Fill in the code(220300)、Detailed、MeasureはUSDとWeight(KG)、を選びます。ビールの容量(リットル)の選択肢がないので代わりに重量を選びます(1リットル=1KGと仮定)。

出典:台湾CPT(貿易統計データ検索サイト)

検索結果はアルファベット順に表示されます。地域別表示の日本とは違うので注意しましょう。データをExcelなどで見ることもできます(Export to Excelを選ぶ)。

2019年の台湾からのビール輸出は、金額にして658万米ドル(邦貨7億円強)・重量で601万KG(601万リットル、350㏄換算で1,717万缶、缶単価FOB0.38米ドル)であることがわかります。最大の輸出先は中国で267万米ドル(邦貨3億円弱)・重量で221万KG(350㏄換算632万缶、缶単価FOB0.42米ドル)です。

2位の輸出先は日本で174万米ドル(邦貨2億円弱)・重量で210万KG(350㏄換算599万缶、缶単価FOB0.29米ドル)です。日本向けのビール単価は中国向けの3分の2程度であることもわかります。日本向けにはかなり安価に供給してもらっているのですね。

出典:台湾CPT(貿易統計データ検索サイト)

前回、日本からプラスチック射出成型機の2019暦年国別輸出実績を調べました。比較のため同じカテゴリーの製品で、台湾からの2019暦年輸出実績を調べてみましょう。

ビールの例のようにインプットして行きます。HSコードは847710です。機械なので金額の他に台数データも欲しいのですが、あいにく台湾独自の11桁HSコードが手元にないのでとりあえず金額(USD)と重量(KG)を選択します。データ加工に便利なので出力形式でExport to Excelを選びます。

出典:台湾CPT(貿易統計データ検索サイト)

2019暦年には2億米ドル程度(邦貨約220億円)の輸出実績があったことがわかります。同年の日本の輸出実績は1,182億円なので日本の5分の1程度の規模ということです。台数データが不明ですが、金額と重量のデータが揃ったのでKG当たりの金額を国ごとに計算します。全世界向けのKG当たり金額は6米ドル弱で、中国向けは7米ドル強、インドとインドネシア向けは共に6米ドル弱、ベトナム向けは6米ドル弱、日本向けは14米ドル弱です。

プラスチック射出成型機メーカーのサイトから製品カタログを見て製品重量を調べます。小型機種で3トンから7トン程度、中型機種で10トンから25トン程度、大型機種で35トン程度ということから、平均して1機種あたり10トンくらいの重量と仮定し、先ほど計算したKG当たり金額を1万倍(10トンは1万KG)します。すると、全世界向けは1台当たり6万米ドル弱(邦貨約640万円)、中国向けは7万米ドル強(邦貨約750万円)、という仮説を立てることができます。

日本からの2019暦年輸出実績では、全世界向けが1台1,003万円、中国向けが1台1,019万円、インド向けが1台752万円、インドネシア向けが1台1,404万円ですから、日本が高価格帯・台湾が中価格帯という輸出実態であることが推察できます。

まとめ

他国の貿易統計データ、例えば台湾の貿易統計データを利用することで、自社製商品の競合となりそうな台湾からの輸出実態を把握することができます。不足情報については、金額に重量や容積データを組み合わせて仮説を作ることをお勧めします。

▼バックナンバー

第1回 【在宅勤務でもできる海外市場調査】自社製品カテゴリーの貨物が日本からどの国向けにいくら輸出されているか?
第2回 【在宅勤務でもできる海外の取引先候補探し】海外出張せずに現地取引先候補を探すには?

【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)

大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングサービスを、ジェトロや中小機構などの公的支援機関および民間企業向けに提供している。

URL: https://sub.toro-llc.co.jp/

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