"ウィズコロナ"時代の海外駐在員
インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。
8月5日の5か月ぶりの日本→インド便を皮切りに、8月も9月も月に2~3便程度、日印間の往来が戻りつつあります。
その結果コロナの影響で日本に一時避難していたもののインドに戻れなくなっていた日本人駐在員も、就労ビザの人を中心に入国が認められています。ただもちろんインド政府が定めた隔離期間を守る必要があり、しかもそれは州ごとに決められているため、州をまたいだ移動をすると再び隔離が必要になりより多くの時間を消費してしまうという難点はまだ残っています。
とはいえ、止まっていた日印間の往来、特に日本からインドへの移動がスタートしたことは現地でビジネスをする私にとっては喜ばしいことです。もちろん、インドがまだ一日10万人近い新規患者が発生させており、累計でも米国に次ぐ世界2位の患者数を記録しているのもまた事実ですので、インドへの再渡航が決まった駐在員の人の中には
「解禁されてほしくなった」
と冗談交じりに言う人もいます。
ロックダウンによりしばらく止まっていた経済もある程度戻ることが期待されますが、これは経済をこれ以上とめることはできないため危険を承知で「ウィズコロナ」を選ぶ…というインド政府の意思決定だと考えて間違いないでしょう。私はインドのような国ではこの決定は正しいと思います。
一方、往来が戻りだしたというものの、帯同家族の入国は基本的に認められておらず、現状戻ってきているのは駐在員本人が中心です。ただそれであっても、良くも悪くも横並びの日本の企業文化ゆえに、ある会社がインドへ戻ることを決めると他の同業他社も戻ることが期待されており、現地の特に日本人を相手に商売をしていた飲食店などは大きな期待を寄せています。
現地商工会や日本人会は今後も月に2~3便程度の、往来を予定していると情報提供しており、また一定の「流れ」が生まれるとJALやANAなどの航空会社も増便する空気が生まれると思いますので、今後の往来拡大が期待されています。
近年日本企業がインドにおいて存在感を出していたのは、新幹線などに代表される「インフラビジネス」です。こういったインフラビジネスは、ウィズコロナであってもアフターコロナであっても、どうしても必要な産業ですので、この往来の復活がインドにおける日本企業の存在感の復活にもつながれることを期待しています。
まとめ
・従来「インド→日本」だけであった、日印間の往来でついに「日本→インド」が復活
・製造業を中心に多くの駐在員の人がインドに戻りつつある
【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士
大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。
事務所HP:http://in.nacglobal.net/