インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。
インドの最新情報を現地よりお届けしています。
本日はインドの気候についてお伝えします。
▼目次
日本の猛暑どころではない灼熱のデリー
5月後半よりデリーの暑さは本格的になり、概ね45度前後。外の日差しが強い場所によっては50度を超えるところもあるほどです。私の住んでいるエリアは、毎年この時期公立学校はお休み。理由は「あまりに暑いから」です。
貧困層の人の中には路上で生活している人も少なくなく、このあまりに酷い暑さによって毎年少なくない人が熱中症で亡くなります。
家に帰っても水道水はお湯を出さなくても熱いくらいの温度なので、シャワーの時ボイラーでお湯を沸かす必要はありません。少しでも停電が発生すると3分で汗だくになるので、一日2回はシャワーを浴びるようにしています。
ただ50度近く暑くなる主要都市はデリーくらいで、あとは上がっても40度くらい、IT企業で注目を集めるバンガロールは高原にあることもあり、夏でも30度前後です。またそんな夏も7月に入ればモンスーンのシーズンが到来し、少しずつ雨の季節になり、湿度が増えるとともに気温は30度台前半まで下がります。
深刻な農業への影響
一方でこの酷暑、毎年経済紙が注意深く見守っています。
というのもインドはまだまだ農業人口が多い農業国であり、農場従事者の割合はなんと全勤労者の半分に上ると言われています。
実際、農業を手伝っている地方の農家の子どもたちも含めるとその人口はもっと膨大になるでしょう。そんな農家にとってあまりに酷い暑さは作物の不作を招き、彼らの所得に大打撃を与えます。そうなると、国内の需要も縮みがちになり、インド全体での経済成長に暗い影を落とすからです。
そのため毎年この時期には気温の推移や、そしてモンスーンの時期にはしっかり雨が降るかどうかなど、農業生産がどうなるかについての予想が新聞にて議論されるようになります。
またアメリカなどと異なりインドの農家は非常に耕作面積が小さい零細農家がほとんどであるため、資本の蓄積が少なく天候不順で不作になると毎年自殺者がでるなど社会問題化しています。
正直今年の暑さはここ数年と比べると少し暑いほうだと思います。3年程前の夏も暑さが酷く景気に少しブレーキをかけたと言われていますが、さて今年はどうなるか。
3年前に比べたらインフラ等は改善していますが、その経済への影響が懸念されます。
まとめ
農業国であるインドは農家の所得が景気に与える影響が大きい。
そのため天候も政府の大きな懸念事項になる。
【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士
大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。
事務所HP:http://in.nacglobal.net/