インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。
4月11日から始まり5月23日の開票日まえ1か月以上の長期にわたるインド下院の総選挙が終わりました。
結果は日本でも報道された通り、モディ首相率いる現政権、インド人民党(BJP)の圧勝。これでモディ政権が長期政権になることはほぼ確定しました。
為替対策や、印パ問題、雇用対策などの問題山積みのインドにとって、正直長期政権は良い結果を生むのではと個人的には思います。
投票権のない駐在員を始めとした私たち外国人には特に関係ないように思うのですが、この選挙期間は少しばかり生活に影響があります。
①予期せぬ渋滞が増える
日本と異なりインド人は意外に選挙に対して「熱い」のです。それは今回の67%という投票率にも表れています。
比較的「ドライ」なイメージがあるデリーであっても、各政党を拡声器で褒めたたえる行列を見ますし、インドの国旗を振りかざしながらバイクで疾走する集団もよく見ます。そのため仕事のために車で移動が多い人にとっては予期せぬ渋滞に巻き込まれ遅刻する可能性がある点は留意が必要です。
②テロへの警戒が強まる
上記のようにたくさんの群衆が集まることが多いので、大都市ではテロへの警戒が強まります。
人が集まるモールなどでも荷物検査がいつもに増して真剣に行われます。いつものつもりで大きな荷物を抱えてのショッピングは少々面倒になります。
③休みになることがある
会社によっては投票日をお休みにしているケースもあります。
上記の通り、渋滞やデモ、可能性は低いですがテロのリスクもありますので、投票日のみ全従業員に臨時休暇を与えるインド系企業もあります。
④お酒が飲めない
群衆が集まって暴動や喧嘩が始まるのを防ぐためか、インド各地で投票日や開票日はお酒が一切飲めません。
町のお酒屋さんはすべてクローズしますし、ホテルやレストランでも一切お酒を提供してくれないのです。
以上のような特徴がありますので、日本におられるビジネスパーソンの方に言いたいのは「選挙期間中のインドへの出張は避けたほうがいいです」ということです。
不意の渋滞に巻き込まれる可能性もありますし、最悪テロや暴動に巻き込まれるかもしれない。荷物チェックも厳重ですので空港やホテルでの移動も手間がかかります。さらに訪問先が平日にも拘わらず休みをとっていたり、仕事終わりに一杯飲もうかと思ってもお酒が一切ないという事態もあるからです。
特に期日に決まりのないインド出張でしたら事前に「選挙がないかどうか」は確認したほうがよいかもしれませんね。
まとめ
・インド人は意外に選挙に熱い。
・渋滞、テロ対策、休暇、お酒の問題あるので、日本からの出張なら外したほうが良いシーズン。
【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士
大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。
事務所HP:http://in.nacglobal.net/