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第0章 なぜ与信管理を学ぶ必要があるのか?

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1年で4,000

この数字は何の数字だか分かりますか? 

実は、昨年1年間で中国のある1都市で倒産した企業数です(ちなみに日本では、全国合計で年間1万件弱の倒産が発生)。中国の株価急落の話はよく耳にしますが、その裏では実際にかなりの数の中国企業がつぶれているようです。中国の株価が下がる事により、日本の株も下がり、その結果日本の投資家の懐が痛んだり、中国の景気の悪化により、倒産する企業や撤退する企業が増えたりと、今や、直接、間接問わず、海外の経済状況や企業の動向を無視する事はできない時代になったのかもしれません。

そのような中、本特集では海外取引に取り組まれている企業の方たちに役立つような、海外取引におけるポイントを、「与信管理」という切り口で整理していきたいと思います。

本カリキュラムの前提として、まずは「与信管理とは何か?」について解説致します。

 

 

▼目次

与信管理とは?

あなたは「与信管理」と聞いて、具体的なイメージがわくでしょうか。恐らくあまりピンと来ない、何となく聞いたことがあるけど、一般的な言葉ではないと感じる方が多いと思います。英語には「Risk Management(リスクマネジメント)」という言葉があり、ひょっとするとこちらの方が馴染みがあるかもしれません。似た言葉である「リスクマネジメント」と「与信管理」ですが、実は同一の概念ではありません。

リスクマネジメントと与信管理(信用リスクマネジメント)の違いは?

リスクマネジメントには大きく2つの概念が含まれています。一つは、リスクを未然に防ぐ「予防」であり、もう一つはリスク発生時に適切に対処する「危機管理」という概念です。

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「与信管理」は基本的には、「予防」の概念に基づく活動と言えます。どういうことかと言うと、与信管理の「与信」とは文字通り、相手に「信用を与えること」です。例えば、企業間の取引において、相手に掛売りで商品を販売する場合、あなたの会社は取引先に「信用を与えている(=支払を一定期間猶予している)」ことになります。

当然、あなたの会社は取引先が約束を守ることを期待して取引を行なっているわけですが、実際に約束が履行されるかどうかは実は分かりません。つまり、リスクが存在しているということです。このように、信用を与えた取引先がきちんと約束通りに支払をしてくれるかどうかを管理すること、これが基本的に「与信管理」と呼ばれるものです。また、与信管理は、信用に関するリスクをマネージ(管理)するということから、「信用リスクマネジメント」という言い方もされます。

ポイント①

→「与信管理」は(広義の)リスクマネジメントの一部であり、信用リスクマネジメントとも呼ばれる。

→「与信管理」とは企業間取引において、取引先が約束(契約)を履行できる先かを信頼できる情報を基にしっかりと見極めること。

 

なぜ与信管理は必要なのか?

よく「ウチの会社は大企業にしか商品を販売していないので、与信管理は不要。」といったお話を聞くことがあります。果たして、本当にそうなのでしょうか。

当社は、全ての企業に(程度の違いはあれど)与信管理が必要であると確信しています。なぜなら、与信管理のポイントは、取引先が「約束を履行できるかどうか」を見極めることであり、販売以外の場合でも必要なものだからです。

例えば、販売先は支払能力の高い大企業(売上の回収リスクは少ない)であっても、自社製品の原材料や部品は特定の企業(中小零細企業が多い)から調達するケースはあるでしょう。この場合、調達先企業に何かあると、販売先への納入に支障をきたすことがあり、最悪の場合、契約の解除や損害賠償を求められる可能性も考えられます。また、売買取引だけでなく、例えば自社の研究開発を外部に委託する場合、その業務委託先が契約期間中に業務を継続できる状況(財務的に、能力的に)にあるのかを知ることは重要です。

このように、本来、企業がビジネスを行う上で関わる全ての取引先が「与信管理」の対象となります。つまり、いわゆる「審査部」「業務管理部」といった管理部門だけでなく、営業部門・マーケティング部門においても、「与信管理」マインドを持つことは非常に意義があるものと言えます。

ポイント②

→「与信管理」は全ての企業に必要であり、取引先と関わりを持つ全ての部署が「与信管理」の知識・マインドを持つことが必要。

→「与信管理」の基本は、取引先についてよく知ること。与信管理をきちんと実施することで、明確な根拠を持って取引を推進できる。

次の記事はこちら→第1章(1)信用情報の収集について(直接情報編)

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