海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。
そろそろ2026年の挨拶の準備を・・・という時期。世の中すっかりデジタルが浸透しましたが、カレンダーや手帳は紙のものでないと、という人も多いですね。海外のお客さん、取引先に来年のカレンダーや手帳を送るのも10月頃でしょうか。
でも、必ずしも12月から1月に年末年始を祝う人たちだけではありません。世界は広いのです。
どういうことでしょうか?
クイズ
次はそれぞれ、どこの国や地域のどんなイベントでしょうか?
1)2025年10月20-21日
2)2026年1月7日
3)2026年2月17日
4)2026年3月20日頃
1.デジタルはワンクリックで消され、アナログは開封して読まれます
日本は年賀状ですが、海外はSeason’s Greeting Card(通称Xmas Card)を送り合います。しかし海外もデジタル化が進み、今や紙のカードが年末に届くことは少なくなってきました。
ここで発想の転換です。少数派の紙だからこそ、読まれる。
デジタルは便利です。便利ですが、そこらへんに貼っておくことはできません。気に入ったものはカラー印刷できますが、カードをA4サイズで印刷してパーティションに掲示するのは野暮ですね。
アナログだと届くまで日数を要しますが、届いたら必ず開封します(Season’s Greeting Cardは封をしないことが多いです)。開封したら読みます。少なくとも一度は目を通します。
デジタルカードだと読んだ後にワンクリック消去されることがあります。もちろん紙のカードもゴミ箱行きの可能性がありますが、少なくとも(嫌われていない限り)年明けまでは机の角などに飾っておかれるのではないでしょうか? デジタルカードは読むのに都度デバイスからデータを探す必要がありますが、紙カードならばすぐそこに置いておくことができます。
どちらが相手の目に触れやすいでしょうか?
2.年末年始のイベントは1225~0101だけではありません
年末年始のイベントは12月25日と1月1日だけではありません。西欧の風習一辺倒では失敗することがあります。世界には様々な文化の人々が暮らしています。
3.クイズの答えと解説
1)2025年10月20-21日
インド(ヒンズー教)の新年、ディワリです。別名「光の祭典」とも呼ばれ、イルミネーションやオイルランプで華やかな装いの街に変身します。
ディワリは10-11月に行われますが、太陰太陽暦なので日程は固定でなく毎年変わります。
ディワリには服、食器、金銀などを新調すると良いとされるので、インドではディワリ前から大きなセールスがあります。
インドや外国に住むインド人(ヒンズー教徒)と付き合いのある方はディワリ前にメッセージを送ると良さそうですね。
2)2026年1月7日
キリスト教の東方正教(ギリシャ、ロシア、等黒海周辺)が祝うクリスマスです。なぜ?という理由は、東方正教が使っている暦が古いからズレが生じたため、ということです(東方正教では2千年以上昔にシーザーが発明したユリウス暦を今でも使っています)。
この地域の人たちと付き合いのある方は覚えておくと良いでしょう。
3)2026年2月17日
春節、中華正月です。中国や台湾だけでなく、華僑が多く暮らす東南アジアでも盛大に祝う姿を見ることができます。ドラゴンダンス、ライオンダンス(獅子舞)が春節の風物詩です。こちらも太陰太陽暦で日程が決まるので、毎年違う日になります。
4)2026年3月20日頃
ラマダン明けです。ラマダンはイスラム教の9月、いわゆる断食月です。信者は原則として日が出てから沈むまで、一切の飲食をすることができません。しかし夜は飲食することができます(一気に飲食するので太る人が多いそうです)。2026年のラマダンは3月19日までなので、ラマダン明けは大変な喜びの日々に違いありません。富める者は貧しき者に喜捨する時期、ともされています。尚、イスラム教は太陰暦を採用しています。
*筆者はかつて、中東某国からの売掛金回収に困っていた企業さんに、ラマダン明けの時期を狙って回収催促をしましょうとアドバイスして、それがたまたまうまく行ったことがあります(成功を保証する話ではありません)。取引開始までに相手の信用調査をしておきましょう。
まとめ
10月です。年末年始の挨拶準備を進めましょう。今年はデジタルばかりでなく、紙媒体も使ってみませんか? 相手の文化や風習によっては12月25日とか1月1日を祝うとも限らないので、適切なタイミングがいつかも調べましょう。
【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)
大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングや研修サービスを、民間企業およびジェトロや大阪商工会議所などの公的支援機関向けに提供している。これら機関向けセミナー実績も多数有する。日本政策金融公庫「輸出ノート」や「輸出コラム」の執筆を担当する。
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