海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。
日本に盆と歳末があるように、どの国にも大切な行事や記念日があります。例えば1月17日は神戸震災の鎮魂の日です(筆者には山口百恵さんの誕生日です)。日本と商売をする外国ビジネスマンが6月末から7月中旬に付け届けをしたり、8月12-16日前後は得意先との打合せを避けたりすると、日本のこと知ってますね、という思いを強くしませんか?
日本では欧米、キリスト教関係の行事や記念日がよく知られていますが、ビジネス取引の幅と奥行きが拡大するにつれ、知っておくべき相手の文化・風習が増えて行きます。
どんな行事や記念日を知っておくべきか、いくつか紹介しましょう。
3月31日は期末でしょ? 4月10日頃に何がある?
出典:合同会社トロ資料
1.2月10日(毎年移動します)
中国では春節、他の国では旧正月とか中華正月として祝います。中国、台湾、韓国、香港、華僑の多い東南アジアや欧米のコミュニティの新年です。旧正月のシンボルカラーは赤に決まりです。
東アジアで暦通りの1月1日を正月としてお祝いするのは日本くらいで、他の国や地域は伝統的なこの日が新年です。日本においても横浜、神戸、長崎のチャイナタウンでは盛大に新年のお祝いイベントを行います。もしこうした地域向けに新年の挨拶を逃してしまったなら、この旧正月に是非フォローしておきましょう。デジタルメッセージでなくアナログなカードを、それもコテコテの日本のカードを送ると喜ばれることでしょう。
過去において爆竹を鳴らしてお祝いしていた旧正月ですが、安全面を配慮して今ではほとんどの国で爆竹は禁止されています。
中国由来の伝統的イベントは太陽太陰暦に基づくので、毎年移動します。
2.3月8日(固定です)
国連が定めた国際女性の日です。日本ではミモザの日として少しずつ知られつつある日です。イメージとしては3月14日に近いでしょう。普段からお世話になっている女性に感謝の気持ちを込めて花やプレゼントを贈る。3月8日はこういう日です。
国によって大々的にお祝いするところもあり、筆者が駐在していたベトナムでは一年で最も大切な日の一つとして絶対に忘れてはいけない24時間でした。
会社で男性スタッフが事前に集まり、何度も贈り物作戦の打合せをしたことを思い出します。
3.3月31日(毎年移動します)
春分後の最初の満月の後の日曜日、という長い定義のこの日はイースター、キリスト復活の祝日です。キリスト教ではXmas以上に大切な日とされているそうです。イースターを境に春がやって来る、生命があふれる、という日なので、生命力の象徴である卵に絵柄を描いたイースターエッグを探す遊びが有名です。
キリスト教の取引先にお祝いのカードを送るといいですね。
4.4月10-11日の頃(毎年移動します)
イスラム教で最も有名な?行事、断食月ラマダンが明ける日です。日中、飲食はおろか喫煙もできないラマダンが明ける日です。イスラム教の取引相手がいるならば是非知っておきましょう。
ラマダン明けをお祝いするメッセージを送るのもよいでしょう。
ラマダン明けには富者が貧者に施しを与えて徳を積む、ことが奨励されるそうで、もし未回収の売掛金があるならばそれとなく支払い催促するのも良いかもしれません(成功は保証しませんが)。
日が出ている間は飲食できないのがラマダン月なので、この時期に相手先を訪問することはできるだけ避けましょう。
世界中でいろいろな行事や記念日があります。皆さんの取引相手の国や地域を調べ、メッセージを送るのが良いと判断されたら、早速行動しましょう。
相手のことをよく知ることは商売の基本中の基本です。行事や記念日を調べると共に、相手の信用情報も最新のものを調べておきましょう。
まとめ
取引相手の社会でどのような行事や記念日があるかを調べ、適切なタイミングでお祝いメッセージなどを送り、良好な関係を築きましょう。相手の信用状況も定期的に調べましょう。
【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)
大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングサービスを、民間企業およびジェトロや中小機構などの公的支援機関向けに提供している。これら機関向けセミナー実績も多数有する。
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