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新興国リスク【第1回~はじめに】成長性と脆弱性が混在する新興国諸国

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戦後の世界経済は40か国ほどの先進国により牽引されてきました。
しかし今世紀に入り、中国を筆頭に150ヶ国余りの新興国および発展途上国が高度成長を進めています。
そして今や、新興国の経済規模は先進国を追い抜き世界のGDPの過半を占めています。

人口減少や低成長が続く先進国に対し、新興国の経済成長は当面高水準が維持されると予想されています。
しかし成長が目覚ましいBRICsでも、様々な問題が表面化しつつあり、息切れ感を呈し始めています。

※BRICs
・ブラジル、ロシア、インド、中国

また「Fragile5(脆弱な5通貨)」は、ファンド等の機関投資家による売り浴びせに遭うこともあります。景気の減速に端を発して対外支払いが厳しくなり「狙い撃ち」をされるのです。このような事象は金融市場の不安定感を招いています。

※「Fragaile5」
ブラジル、インド、インドネシア、トルコ、南アフリカ

本連載「新興国」では10回に分けて、BRICs各国やMINTのように、存在感を急速に強める新興国の実情を探ってみることにしましょう。

※MINT
メキシコ、インドネシア、ナイジェリア、トルコ

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▼目次

新興国の経済規模は先進国を抜いた

ブラジル、ロシア、インド、中国がBRICsと命名されて既に14年以上が経過しました。
BRICsの成長背景は人口増大です。2010年に中国が10%を超える成長を遂げるなど、
投資マネーの流入と技術革新により目覚ましく発展してきました。

2014年の世界の経済成長率は3.7%です。
その内訳は先進国全体が2.2%に対し、新興国全体では5.1%です。
この新興国の代表はやはり中国で、その経済成長は減速しながらも7%を維持しています。
さらにその他BRICsやMINTも高成長を続けています。

新興国・途上国を構成する154ヶ国の国内総生産(GDP)は既に世界経済の5割を超え、先進国の合計を抜いたとする調査もあります。(国際通貨基金(IMF))

中国経済の恩恵から、負の影響へ

多くの新興国は中国の経済成長の恩恵を受けてきました。ここにきて、中国経済の減速による「負の影響」を受けています。
特に中国の「爆飲・爆食」により活況を示してきた鉱物資源は、中国需要が落ち込み、価格が下落しています。資源国を中心に、新興国は軒並み経常収支を悪化させ、各国の国内では不況感が強まっています。

勝ち組と負け組に分かれたBRICs

その中でも特に、成長軌道から脱落した国としてロシアとブラジルが挙げられます。
資源頼りの経済、そして中国輸出への依存度が高かった両国は「負の影響」が直撃しています。
今後バランスの良い民間投資を促進できるか否かが、成長路線への復帰のカギです。

成長性と脆弱性が混在する新興諸国

「FRAGILE5」は、2014年に始まった米国の量的金融緩和(QE)縮小の影響を受け、通貨の下落が顕著な国々です。
今後も世界的な金融危機を起こす震源地となる可能性を有しています。

これらの「FRAGILE5」には米国はじめ先進国から巨額の緩和マネーが流入しています。

この資金の特徴は短期資金であることです。金融危機の前兆が見られた等、何らかのきっかけで急激な資金引き揚げが起こりやすい(=つまり足が速い)のです。

また今後、米国の金融政策の正常化、つまり利上げが行われた場合の動きも懸念されます。

新興市場に投資した資金が、今度はドル買いに向かい、新興国から資金が急激に流出する危険性があるのです。

BRICsに次ぐ成長の可能性を秘めた国々として総称、「MINT」というグルーピングもあります。
しかしその一員であるトルコや、BRICsの一員であるインドは同時にFRAGILE5にも名前が挙げられています。新興国はどの国も、成長性と共に脆弱性も併せ持っているのが特徴と言えるでしょう。

まとめ

一国の経済成長は、人口の増加、労働生産性の上昇のかけ算により達成されると言えます。
そのとおり21世紀以降、新興国の経済成長には人口ボーナスが大きく寄与してきました。

今日、新興国各国の一人当たりGDPは5千~1万ドルの水準へと上昇し、先進国の手前である「中進国」の仲間入りを果たしています。
「中進国の罠」と言われるように、さらに先進国へと飛躍する為には技術革新に加え構造改革を進めることが出来るか否かが重要なポイントです。

risk_profile ●コラム筆者プロフィール●

名前:テムジン
リスクマネジメント界のチンギス・ハンです。
一言:迷える子羊たちに、世界各国のカントリーリスクを
分かりやすく説明します。

 

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