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2015年末の発足予定のASEAN経済共同体(AEC)が日本企業に与える影響は?

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ASEAN(東南アジア諸国連合)は、2015年末に「AEC(ASEAN経済共同体)」の発足を予定しています。AECは「ASEAN Economic Community」の略で、域内での貿易の自由化を目的としています。これまでバラバラだったASEANが統合し、新たに1つの経済共同体となることによって、周辺各国の経済の活性化が期待され、日本に与える影響にも注目が集まっています。そこで今回は、ASEAN経済共同体(AEC)が日本に与える影響についてご紹介します。

▼目次

 自動車産業

6739-022-2自動車産業は、ASEAN各国にとって非常に重要な産業の1つです。ASEANの自動車産業において日系自動車メーカーは大部分を占めており、ASEANは日系自動車メーカーにとって、最も重要な生産・輸出拠点と言えます。

AEC発足により、「関税撤廃」「熟練労働者の移動解禁」「出資の規制緩和」が進み、経済の発展と活性化が期待されています。そのため、日本企業のアジア進出がさらに加速するでしょう。

これまで、ASEANに進出する日本企業はタイやシンガポールに重点を置いてきました。中でもタイ市場は、日系自動車メーカーのシェアが約90%以上に達しています。

AEC発足により、関税・非関税措置などの負担軽減策に加え、「物品」や「人」が移動しやすくなります。さらに、「タイプラスワン」の動きが加速され、生産拠点の集約化を図ることが可能となるでしょう。

自動車産業は完成車メーカーだけでなく、部品メーカー、装置メーカー、外装メーカーなどさまざまな企業が関わっているため、注目が集まっています。

 

物流事業

ASEANには、日系の物流事業も数多く進出しています。AEC発足後は、メコン圏(メコン河流域6カ国。カンボジア、ラオス、ベトナム、タイ、ミャンマー、中国雲南省)の物量が大きく増えることが予想されているため、日本企業の進出も盛んになっています。しかし、道路のインフラ整備が整っていないため、十分な荷量が伴っていません。そのため、価格競争を余儀なくされている現状です。

 

サービス業

AECは日本企業にとって、ASEAN各国のサービス業に参入する絶好のチャンスです。

しかし、AECは分野ごとに進捗度合が異なります。中でもサービス業の外資規制は十分に進んでおらず、参入障壁がある国も多いという現状があります。

 

 

AECはASEAN版EUになれるか?

AECは域内一体での経済共同体であるため、EU(欧州連合)を思い浮かべる方もいると思います。しかし、AECがASEAN版のEUになることは難しいかもしれません。

その障壁となっているのが、ASEAN加盟国内の経済格差です。ASEANには、先進国であるシンガポールのような経済水準が高い国から、ミャンマーやラオスのように経済成長が始まったばかりの国まで加盟しています。

特に「カンボジア」「ラオス」「ミャンマー」「ベトナム」の新規加盟4カ国(CLMV諸国)と、残り6カ国間の経済格差が埋まらないことが、大きな課題とされています。

また、ASEAN加盟国10カ国は、それぞれ文化や歴史背景、民族が異なります。そのため、EUのように、通貨を統合するなどの本格的な一体化を図ることは難しいでしょう。

域内関税の削減や短期滞在ビザの撤廃は比較的スムーズに進んだ一方で、エンジニアなどの熟練労働者の移動自由化や、小売りや金融などの分野においてサービスの自由化は難航するなど、課題によって進捗は異なります。

2015年末にAECが予定通り発足した際は、最初のうちはゆるやかな提携から始まり、次第に制度の整備と結束が強まっていくと予測されます。

 

おわりに

ASEAN経済共同体(AEC)が日本に与える影響についてご紹介しました。AEC発足後は、海外市場に活路を求める日本企業はますます増加するでしょう。日本企業によって、ASEANはさらに有望な進出先となります。

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