海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。
商談相手の課題を解決する方法を提案する。ビジネスでは当たり前のことです。生産財や産業財の商談では、相手が想定していなかった問題点も指摘することで成約に一歩近づきます。
オンライン商談の本番でどのように進めて行けばよいか見て行きましょう。
そんな風に考えたことはなかった!もっと知りたい!
まず聞く
まず聞きましょう。なぜ当社に連絡を下さったのですか?当社のどういう点に関心を頂いたのですか?
これに対し相手からは、こういう課題・問題があるのでおたくの製品やサービスで解決できると考えた、新規で装置を購入する予定があるのでその分野で著名なおたくに連絡した、というような答えが返ってくるはずです。インターネットを通じた問合せでもそのような理由が書かれているはずです。
これに対して準備することは当然ですが、これ以外にも準備しなければいけない事項があります。
商談相手が聞いてこない情報を想像する
相手から問い合わせのあった内容は、相手が気付いている課題です。実は相手が気付いていない課題に商談成約のヒントが含まれています。
相手の現状を質問しましょう。質問は相手の組織に沿った内容がよいでしょう。例えば相手がメーカーならば、設計・開発、購買・調達、生産・品質、経理・管理、といった部門ごとに生じる可能性のある課題を考えます。考える素材は、既存の顧客との付き合いの中で経験してきたクレームや評価が役立ちます。
相手に新たな気付きを与える
質問に対する相手の答えの中から、現状のまま放置しておくと大きな問題になりそうなものを拾い上げます(聞きながら筆記するとよいでしょう)。相手としては自分たちが課題として取り上げなかったことを指摘され、新たな問題の種への気付きを得ることができます。「そんなふうに考えたこともなかった!それでどうすれば・・・?」
商談相手は自社のことを意外に理解していません。他者から見た自社の課題という情報は新鮮です。そこにスポットライトを当てることで潜在課題が顕在化し、それを解決する方法としての製品やサービスへのニーズが発生します。
短期の商談では当社製品やサービスの特徴や利点を説明することで成約することが多いのですが、長期間採用する生産財(部品など)や産業財(工場の設備など)では、相手にとって失敗しない購買決定が最重要です。相手社内の関係部門が気付かなかった失敗の種を指摘し事前に刈り取ることで、相手担当者の高評価にもつながります。
次回で解決策を示す
気付かなかった課題を指摘された商談相手は当社の解決策を心待ちにしています。次回の打合せでは課題を再確認し、課題の1つずつ解決策を説明します。解決策の具体的な方法という段階になって初めて自社製品やサービスの話をします。商談の早い時期に製品やサービスを説明しても、個々の仕様や価格に対して競合と比較されてしまいますが、見えない課題を可視化されその解決策を示された後ならば、相手もすんなりと説明が頭の中に入ります。
成功する商談のためには、相手に質問することで入手した潜在課題をよく消化し数値化(機会損失としての数値化など)する準備が非常に大切です。
まとめ
相手にまず聞きましょう。その中から相手が気付いていない問題の種を拾い上げ、その解決策を具体的に行う方法として自社の製品やサービスがあります、という流れに持ってゆきます。どのような流れがよいのか、どのような質問がよいのか、挿入図を参考にして下さい。
【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)
大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングサービスを、ジェトロや中小機構などの公的支援機関および民間企業向けに提供している。
URL: https://sub.toro-llc.co.jp/