長期の海外赴任に際しては、さまざまな準備が必要になります。
出発までに必要となる作業についてきちんと把握していないために、赴任直前になって慌ててしまう方も少なくありません。
そこで今回は、海外赴任が決定してから出発に至るまでの一般的なスケジュールについて、順を追ってご紹介します。
▼目次
海外赴任の打診が舞い込んだら
海外赴任の必要性が生じた場合、大体2〜4ヶ月前に会社より打診があります。結婚している方の場合、まずここで「家族を連れて行くか、単身赴任するか」を決めなければなりません。配偶者や子どもと十分に話し合った上で決定してください。
打診を受諾する場合は、赴任先となる国の特色や職場環境について、できるかぎりの情報収集を行いましょう。また、必要となる準備作業についても、おおまかなスケジュールを立ててください。無計画のままでは、突然のトラブルが発生した時に対処できません。
最優先で取り掛かるべき準備
パスポートの取得には1週間前後を要するため、最優先で行いましょう。もちろん、ビザの申請も忘れずに行ってください。
健康診断や歯科検診なども、早期に受診することをおすすめします。また、入国に際し特定の予防接種が要求される国の場合、事前に証明書を受け取っておくと後の手続きがスムーズです。
予防接種の種類によっては複数回に分けて受ける必要が生じるため、日程の調整は早めに行ってください。
移住に備えて
パスポート等の準備が済んだ後は、住民票や保険に関する手続きを行わなければなりません。また、現在の住居や所持している車についても、処分の方法を考える必要があります。
【1】住民票
住民票については、海外赴任に際して「抜く(海外転出届を出す)」ことができます。
ただし、住民票を抜くことには、メリットとデメリットが存在します。
メリットとしては、住民票を抜くと、翌年分の住民税を払う必要がなくなります。住民税は年間を通すと大きな金額になるため、住民票を抜くことにより、家計への負担を幾分か軽減することが可能です。ただし、今年分として算出される住民税は支払わなければなりません。
一方、住民票を抜くデメリットとしては、国民年金が任意加入となることや、国民健康保険に加入し続けられなくなることなどが挙げられます。さらに、住民票を抜いた後は、印鑑証明を取得することもできません。そのため、印鑑証明が必要となる手続きは事前に済ませましょう。
【2】保険
保険には、海外赴任者用の保険(海外駐在員用プランなど)が存在します。赴任国や移住する家族の人数によって金額が異なるため、保険会社と相談し、適切なプランの保険に加入しましょう。
【3】住居や車
持ち家や車についても、「赴任中の期間、賃貸する」「売却する」など、適切な処遇を考えなければなりません。
また、車や不動産の売買、もしくは廃車の手続きなどに際しては、印鑑証明が必要となります。前述の通り、住民票を抜いてしまうと印鑑証明が取得することができなくなるため、注意してください。
出発直前の準備
赴任の1ヶ月前は、赴任先での住居の決定や、赴任先へ持っていくものの仕分けを行います。持っていかないものに関しては処分の方法を考えましょう。
電化製品については、品物によって課税の対象になったり、持ち込めなかったりする可能性があります。また、ラジオやテレビなどに関しても、赴任先の国で使用できるか確認が必要です。
おわりに
海外赴任のスケジュールに関して、おおまかな流れをご紹介しました。
海外赴任の準備には、大変な労力がかかります。特に必要書類の作成や事務手続きについては早めの行動を心がけ、出発直前で慌てることがないようにしましょう。