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(3)イギリス控訴院の注目判決(弁護士 瀧澤渚)

      2016/11/22

4509e58c644180649d8f814fe52439be_s2016年4月,英国の控訴院(Court of Appeal)において,Globe Motors v TRW Lucas Varity Electric Steering事件に関し,注目すべき判決が下されました。英文契約書においては,「当該契約についての改定・追加は書面でなされ,かつ,両当事者が署名を行わなければ,有効に行えない」という趣旨の条項が規定される例が散見されますが,英国控訴院は,そのような規定(以下,便宜上,こういった条項を「no variation clause」といいます。)が契約書中に置かれていたとしても,書面によらずに当事者が契約内容の改定・追加をしたと認める余地があると判示しました。

上記事件の契約書には,下記のようにno variation clauseが規定されていました。

“6.3 Entire Agreement; Amendment: This Agreement, which includes the Appendices hereto, is the only agreement between the Parties relating to the subject matter hereof. It can only be amended by a written document which (i) specifically refers to the provision of this Agreement to be amended and (ii) is signed by both Parties.” (下線部につき筆者訳:本件契約は,(i) 変更にかかる本契約の条項を特定し,(ii)両当事者によって署名された書面によってのみ,変更することができる。)

英国においては,このような条項に拘束力があるかについて,以前から議論がありました。本判決は,以下のように判示し,契約書中にno variation clauseがあったとしても,当事者の契約変更の自由は奪われないとし,上記議論に一定の結論を出した点で意義のある判決です。

“The parties have freedom to agree whatever terms they choose to undertake, and can do so in a document, by word of mouth, or by conduct. The consequence in this context is that in principle the fact that the parties’ contract contains a clause such as Article 6.3 does not prevent them from later making a new contract varying the contract by an oral agreement or by conduct. ”

今後,英国法を準拠法とした取引にあたっては,no variation clauseが必ずしも絶対のもの,すなわち,両当事者の署名入りの書面以外の方法によっては契約内容が変更されるものではないことを念頭に置き,口頭の合意その他の言動によって契約内容が変更されたと主張される余地のないように行動していくことが望まれます。

<プロフィール>

弁護士法人堂島法律事務所(東京事務所) 弁護士 瀧澤 渚氏

慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2014年弁護士登録。外資法律事務所勤務の後、2016年より堂島法律事務所所属。企業法務・労務を中心に、英米法等の海外法務にも精通。

 

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