海外企業の信用調査レポートの見方の最後の項目は「信用情報」になります。
財務データには表れない情報からも、企業の信用状態を推測する事が可能であり、「企業概要編」、「財務情報編」に続き重要な情報になります。今回のレッスンのポイントをおさえ、取引先の信用状態の把握に努めましょう。
▼目次
担保設定状況(CHARGES)
主に金融機関からの借入に伴い設定された担保に関する情報が記載されています。
ポイント
海外においては、日本と違い不動産は担保としてあまり金融機関から評価されず、有価証券、売掛金、在庫等の換金性の高い流動資産が対象になることが多いことを覚えておきましょう。
取引銀行(BANKER)
対象企業の取引銀行の名称が記載されています。
ポイント
信用状(L/C)取引を行う際は、取引先がL/C開設を依頼する銀行の信用力が重要なポイントです。調査レポートで調査対象企業の取引銀行を確認し、自社の取引銀行等から、該当する銀行についてヒアリングをするのも良いでしょう。
支払い振り情報(PAYMENT)
仕入先への支払方法や支払条件、支払の状況等が記載されています。対象企業のすべての取引について記載されているわけではありませんが、仕入先に対する支払の状況を把握するうえで目安となります。
ポイント
金額が大きい遅延が多い場合には注意が必要です。また、過去において遅延があった場合、その原因が納得できるものか、現在は問題が解決されているのかが重要なポイントです。
訴訟/裁判(Litigation/Judgment(s)/Suit(s))
対象企業に関わる訴訟の有無や、訴訟のステータスについて記載されています。
ポイント
訴訟の結果が対象企業の業績、評判(reputation)等にどの程度の影響を与えるかに注意が必要です、
※訴訟には民事と刑事の違いがあるなど、争いの対象は様々であり、係争中であれば訴訟の結果(判決)を外部から予測することは困難です。
まとめ
今回は、「信用情報」のポイントに関して学びました。
「企業概要編」、「財務情報編」と合わせて、3回に分けて企業調査レポートの見方を学んできましたが、調査レポートには、今回採り上げたポイント以外の情報も多く含まれ、企業や国にもよりますが、調査レポートの活用だけでも、取引先のかなりの情報を得ることが可能な場合が少なくありません。
海外企業との取引を始める際には、まずは調査レポートの取得から始めてみてはいかがでしょうか。
☆次回は「海外取引における与信限度額の考え方」について学んでいきます。