海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。
日本にとって最大の貿易相手国は、輸出入を合算した金額で言えば中国です。輸出だけならば米国が1位、中国が2位ですが、輸入は中国が2位の米国を大きく引き離して1位です。輸出と輸入を加えた金額では中国が1位になります。
輸出から輸入を引いた貿易収支は、日中貿易に関しては大幅な貿易赤字というのが実態です。しかし中国との貿易に香港を加えると、違った姿が見えてきます。
財務省貿易統計
https://www.customs.go.jp/toukei/search/futsu1.htm
→ その他の統計・情報について調べる
→ E-1 国別総額表
実は日本は、香港とは大幅な貿易黒字(中国との貿易赤字を打ち消す年も)
出典:合同会社トロ資料
1.中国との単体データでは大幅貿易赤字
財務省貿易統計に基づき過去10年間の国別輸出入金額を棒グラフにしてみました。
前図で青い棒グラフが中国との輸出入(輸出は上、輸入は下)です。ざっと眺めた感じで下側の棒グラフが長いことがわかります。貿易赤字ということです。
2.香港とのデータを加えると貿易収支はトントン
棒グラフの茶色部分が香港との輸出入データです。
一見して日本の輸出超過、つまり貿易黒字であることがわかります。
香港のデータを中国との貿易データに加えたものが図の全体像です。中国プラス香港との貿易収支金額を四角い枠内に記載しました。
年によって黒字だったり赤字だったりしますが、ほぼ均衡していると言えそうです(2022年以降は赤字基調ですが、2024年7月までの実績では赤字縮小傾向に見えます)。
3.香港と中国の貿易は香港の輸出超過(貿易黒字)
ジェトロの香港情報によれば、香港と中国の貿易は香港の黒字であることがわかります。 https://www.jetro.go.jp/world/asia/hk/gtir/ (2021年と2022年データ掲載)
日本から香港に輸出した貨物がそのまま中国に再輸出されるわけではありませんが、両者間の貿易網は非常に太いものがあります。もし日本から中国向け輸出で困難に遭遇している場合は、香港に適切な貿易相手を見つけ、その業者を介した中国向けビジネスを進めてはどうでしょうか?
香港貿易発展局という香港の公的支援機関が日本に事務所を持っており、香港及び華南地区でビジネスを進めたい日本企業へのサービスを提供しています。https://japanese.hktdc.com/
4.その取引候補との決済は問題無さそうですか?
香港の貿易取引候補が絞り込めたら、発注してもらいましょう。
これでやれやれ、というところですが、その前に必ず相手の支払い能力を確認します。きちんと約束通りにお金を支払う相手かどうか、過去に未払いや訴訟などの問題を抱えていないかを確認します。相手の信用調査を終えたうえでビジネスがスタートするのです。
まとめ
中国との輸出入で何らかの困難を感じる場合、香港経由の販路開拓も検討します。取引候補が見つかったら受発注前に必ず信用調査を行い、決済に不安が無いことを確認してからビジネスを進めます。
【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)
大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングや研修サービスを、民間企業およびジェトロや大阪商工会議所などの公的支援機関向けに提供している。これら機関向けセミナー実績も多数有する。
URL:https://sub.toro-llc.co.jp