海外マーケティング支援を行っている合同会社トロの芳賀 淳です。
和製英語を避けましょう、という趣旨の話をしてきました。でも英語って英国と米国の両方で使われているので、どちらの言葉に従えばいいの?という質問も受けます。どちらでもお好きな方を、と言うのが筆者からのアドバイスですが、なるべく一貫した使い方が好ましいと言えます。1つの文章の中に英国式と米国式が混在していると相手も面食らうことがあります。
英国式と米国式の代表的な違いを紹介し、王道英語から若干変質した?シンガポール英語についても紹介します。相手のバックグラウンドに合わせた使い分けができると素敵ですね。
2019年5月1日をどう書く?
dd/mm/yyなど
外国の日付記載は dd/mm/yy というのが基本です。これはdd=day/ mm=month/ yy=yearということで、日/月/年という順番になります。日本の場合と全く反対ですね。ちなみにdd/mm/yy表記は英国式で、米国式はmm/dd/yyと月と日が入れ替わります。具体的に2019年5月1日を英国式では、1 May, 2019と書き、米国式では May 1, 2019と書きます(年の前にカンマ, が入ります)。書状やメールで日付を書く場合は相手がどちら式なのかに気を付けて書くようにしましょう。北米・中米・フィリピンなどは米国式、英国およびその旧植民地や欧州は英国式です。
英国と米国で異なる語彙は次のようになります。日本では米国式が主流です。
日 | 米 | 英 |
アパート | Apartment | Flat |
エレベーター | Elevator | Lift |
サッカー | Soccer | Football |
高速道路 | Expressway(freeway) | Motorway |
歩道 | Sidewalk | Pavement |
運転免許証 | Driver’s license | Driving licence |
ガソリン | Gas(gasoline) | Petrol |
車のトランク | Trunk | Boot |
お菓子 | Candy | Sweets |
クッキー | Cookie | Biscuit |
お持ち帰り | Takeout | Takeaway |
酒場 | Bar | Pub |
セーター | Sweater | Jumper |
ハンドバッグ | Purse | Handbag |
テレビ | TV | Telly |
電話を掛ける | Call | Ring |
会計年度 | Fiscal year | Financial year |
行列 | Line | Queue |
郵便 | Post | |
休暇 | Vacation | Holiday |
映画 | Movie | Film |
秋 | Fall | Autumn |
ごみ | Garbage/Trash | Rubbish |
出典:社会人のための英語の世界ハンドブックP118(大修館書店)
エレベーターの階数表示、地下鉄に注意
日本と同じ階数表示なのは米国です。地上階が1階で、順に2階・3階となります(地下はB1=Basement1、B2です)。英国式は地上階がGround FloorあるいはLobbyと表示され、日本の2階が1階となります。日本の階数マイナス1が英国式のエレベーター階数表示です。エレベーターをElevatorと呼ぶのは米国式、英国式ではLiftとなるのは前項表で確認できます。ちなみに、インドでは地上階が0(ゼロ)表示のエレベーターをよく見かけました。さすがゼロを発見した国ですね。
また、地下鉄のことを米国ではSubway(Subは「下の~」という接頭語、submarineはmarineの下なので潜水艦)と言いますが、英国式ではthe underground, the tubeと言います。欧州大陸ではMetroという表現も使われています。日本も東京メトロや大阪メトロなど、メトロという言い方に慣れてきましたね。東南アジアでは地下鉄をMRT(Mass Rapid Transit/Transportation)という言い方で表現するところが多いようです。
綴りや発音の英米相違
色:英colour米color、好み:英favourite米favorite、劇場:英theatre米theater、中心:英centre米center、プログラム:英programme米program、など綴りの相違例は結構あります。相手が英国式か米国式かによって使い分けましょう。
「広告」を意味するadvertisementの発音は、英国式が「アドバーティスメント」でアクセントは「ティ」にあります。米国式では「アドバタイズメント」でアクセントは「タイ」にあります。同じ綴りの単語でも発音とアクセントが違う例です。これらは辞書と現場で都度確認するしかありません。
シングリッシュ
英国植民地だったシンガポールは基本的に英国式の英語ですが、地元民同士の日常会話などではシングリッシュと呼ばれる独特の言い回しがあります。中国人、マレー人で構成される多民族国家シンガポールならではの英語の進化と言えましょう。
Let’s go makan.(食事に行こう。Makanはマレー語)
Why are you so kiasu?(どうして君はそう負けず嫌いなの?kiasuは福建語)
Canの語尾にlah/ leh/ lor/ mehなどをつけると、Can lah (Yes)/ Can leh (Yes, of course)/ Can lor (Yes, I think so)/ Can meh (Are you certain?) といった意味になるようです。是非現地で新しいシングリッシュの語彙や語句を発見してみてください。
まとめ
英語は1つではありません。英語を母語とする国でも英国式や米国式の表記や発音があります。相手に応じて使い分けることが大切です。混ぜ合わせて使うのは避けましょう。独特な発達?を遂げた例としてシンガポールでの英語を紹介しました。和製英語もそのうち日の目を見る時がくるかもしれませんね。
次回からは、新シリーズです。
【プロフィール】
合同会社トロ 代表社員 芳賀 淳(はが あつし)
大手総合電機、精密機械メーカーにてベトナム他での海外販路開拓や現地法人設立などの海外業務に携わった後、合同会社トロを設立。豊富な海外業務・貿易実務経験を活かしたコンサルティングサービスを、ジェトロや中小機構などの公的支援機関および民間企業向けに提供している。
URL: https://sub.toro-llc.co.jp/