インドで日本企業の進出支援を行っている公認会計士の野瀬大樹です。
2月は弊社のインド人スタッフを連れての日本出張です。
日本出張目的は、お客様の日本本社への訪問であるため100%日本語でのミーティングです。
そのため基本は私一人で十分なのですが「日本に行ってみたい!」と言うスタッフは多く、福利厚生も兼ねての出張になります。
さて、そんな「インド人の日本出張」ですが、若いスタッフの場合、海外に行ったことがないケースも多く、出発前から滞在時まで様々な問題が起きます。今日はいつもとは趣向を逆にして「インド人が日本に行く際の注意点」をまとめたいと思います。
インド人が日本に行く際の注意点
①ビザ
インド人が日本に行く場合、それが観光目的であれビジネス目的であれ「ビザ」が必要です。
簡単なのは観光ビザで、必要書類が増えるのがビジネスビザです。ただ、どちらであってもイメージと異なり比較的スムーズに取得できます。観光ビザであれば1週間程度、ビジネスビザであっても2週間見ておけば十分かと思います。
②食事
これが一番の問題です。
多くのインド人は基本的に菜食主義者です。
肉や魚、人によっては卵も食べることができません。つまり「出汁」もダメです。出汁がダメならば日本で出される食事はほぼアウトになります。「知らせなければいい」という考え方もありますが単なる慣習ではなく宗教上の理由である場合もありますので、避けたほうが無難でしょう。
そのため、インド人は日本のような国に行く場合は日数分のレトルト食品を持っていくケースが少なくないです。日本で最近増えているインド料理店に行くのも手ですが、我々が海外で出会う日本食が何か違うように、彼らもまた日本で出会うインド料理を食べても「何か違う…」と言われてしまうこともありますので結局レトルトが無難なのかもしれませんね。せっかく日本に来ているのにもったいない気はしますが。
③飲酒
インド人は基本的にお酒を飲まない人がほとんどです。
ただお酒が嫌いかと言えばそうではなく、お酒≒不道徳だと見る国内の空気を読んで飲まない人が多いという事情があります。そのため海外出張になると羽目を外したくなり慣れない飲酒をするインド人が少なくありません。そのため行きの飛行機や日本についてから泥酔してしまうケースもありますので、無理のないようにお酒を飲む日はキチンの付き添ってあげたほうが無難だと考えられます。
④天候
インドは暑い国なので、日本の酷暑も大丈夫かと思うのですが、蒸し暑さで言うとやはり日本は世界的にもかなり厳しい国ですので配慮は必要です。
さらにまた難しいのが冬です。北インドのように冬が寒い地域からの日本行きならまだ良いのですが、南インドは冬の季節でも基本的に寒くありません。そのような地域から冬に日本に来る場合は、気温差で体調を壊す人が多いので、空港で防寒具を買うなどの対策が必要になります。
⑤待ち合わせ
最近ではGoogleMAPが便利なので、待ち合わせは適当でも大丈夫かと思ってしまいますが、彼らは今でもあまり「地図を見る」という習慣がありません。
日本での待ち合わせであれば、面倒ですが空港まで迎えに行くか、よほどの分かりやすいランドマークを伝えておく必要があります。連絡が取れなかった時は〇〇時に〇〇に行くくらいの保険をかけておいたほうがいいと思います。
まとめ
・インド人はまだ海外慣れしていない人が多い。
・特に食習慣の違いは大きく、多くのインド人が日本で食事に困っている。事前に伝えておき、レトルト食品を用意するか、インド料理店のマップを渡しておくくらいのほうが良い。
【プロフィール】
野瀬 大樹(のせ ひろき) 公認会計士・税理士
大手監査法人勤務の後、NAC国際会計グループに参画、インドのニューデリーにて主に日系企業をサポートするコンサルティング会社NAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、同代表に就任。インド各地にて、会計・税務・給与計算に加え、各種管理業務に関わるコンサルティングサービスを提供している。
事務所HP:http://in.nacglobal.net/